少しは肩の荷が軽くなるかもしれない。巨人・坂本勇人内野手(33)は主将就任から8年目を迎えた。昨年はチームがシーズン最終盤に大失速。自身の故障による離脱もあり、悔いの残る1年となってしまった。2年ぶりのペナント奪回に向け「1年間(試合に)出続けることが一番の目標」というキャプテンには、心強い1学年下の後輩が全面サポートを約束している。

 1935年の二出川延明から数えて19代目。2007年~14年の阿部慎之助と並んで球団最長タイの8年連続で巨人の主将を務める坂本は12日に沖縄県内で行っている自主トレを報道陣に公開。後輩内野手の湯浅、増田陸とともに体幹トレ、ランニング、キャッチボール、ノック、打撃練習で約4時間にわたって汗を流した。

 昨年は侍ジャパンの一員として東京五輪にも出場。攻守にわたる大活躍で、金メダル獲得に貢献した。例年以上に大忙しの1年で、右手親指の骨折による離脱も経験。シーズンは117試合の出場で打率2割7分1厘、19本塁打、46打点の成績にとどまり「年齢的にも33歳の年で(シーズン)後半は体がいい状態で動かないとか、感じる部分もあった」。チームが10連敗した10月は月間打率1割6分7厘と失速。下半身の衰えを実感し「バッティングが粘り強くできないことがあった」との反省から、現在は体幹を重点的に鍛えているという。

 8年目に突入した主将としてもチーム内では絶大な信頼を寄せられている。元木ヘッドコーチも「チームがああいう状況(昨年の10連敗)でなかなかベンチを明るくできない。悩んでいたらチェンジで戻ってきた勇人が『ベンチが元気ない』と言ってくれた。言葉に出してないけどありがたかった」と感謝していたように、首脳陣も主将を頼りにしている。

 ただ、一人でできることには限界がある。引き続き選手会長を務めるエース菅野も頼もしい存在ではあるが、今年は巨人移籍4年目の丸も「チームが苦しい時、試合後に勇人さんが選手を集めて話す機会がシーズン中たまにある。そういうところまで深刻にならないよう、特に若い選手が苦しんでいるようだったら、しっかりと話をしてあげられたら」と〝副キャプテン〟的な役回りでの援護を約束している。

 これまでは〝外様〟の遠慮も少なからずあっただろうが、そうも言っていられない。チームの精神的支柱だった亀井が昨季限りで引退してコーチに就任。坂本にかかる負担が増えることは目に見えており、チームのためにも一肌脱ごうというわけだ。

 くしくも今季は首脳陣も元木、阿部、桑田と3人のチーフコーチを置く体制となった。坂本は「みんなに支えてもらいながらチームを引っ張っていければ」と言い、個人的にも「もう1回(打率)3割打って、出塁率も4割残せるように頑張りたい」と意気込んでいる。坂本(19年)、菅野(20年)、丸(17、18年)とセ・リーグMVP経験者3人がスクラムを組めば、2年ぶりのリーグVと12年以来の日本一奪回は現実味を帯びてくるはずだ。