大物ぶりはビックボス以上かもしれない。日本ハムのドラフト1位ルーキー・達孝太投手(17=天理高)の言動がチーム内外でにわかに注目を集めている。プロ1年生にして、すでにベテランのようなブレない姿勢を貫いているからだ。新庄剛志監督(49)も一目置く長身右腕が〝オレ流〟を貫く真意は――。

 二軍施設がある鎌ケ谷スタジアムで新人合同自主トレに参加している達だが、初日から自分の体の状態と相談しながら練習メニューの消化過程を調整。徹底した自己管理のもとで「オレ流」を続けている。

 中でも顕著なのがキャッチボールだ。他の選手が一斉にボールを投げ始めても、達だけはグラブを置いて入念なストレッチを開始。同期たちが徐々に距離を伸ばして遠投に差しかかった頃、ようやくキャッチボールを始めるのが日課になりつつある。

 別に一匹狼を気取っているわけではない。キャッチボール前の入念なストレッチは「疲労があるからするのではなく、毎日ベストの状態でキャッチボールに入っていきたい。常に安定した調子を求めたい」との理由からだ。高校生ルーキーが合同自主トレ初日から自己流を貫くのは珍しい。

 同期の新人には社会人や大学生もいる。達の独断行動はともすれば誤解を招きかねないが、文句を言われるどころか嫌な顔一つされていない。この背景には達の野球に対するストイックな姿勢があるからと言われる。

 球団職員らに日常生活の様子を聞くと「入寮以来、達は常に野球のことしか考えないほどプロ意識が強い」と言う。初の休養日だった12日も朝5時に起床。こっそり球場を40分程ランニングし、10時過ぎにも再びグラウンドに姿を見せて走っていたそうだ。達は「誰にもバレていないと思うんですけど…。目が覚めて特にすることなかったので。だから走ったって感じです」と、こともなげに言う。

 寮の自室にテレビもなく、スマートフォンなど携帯電話の類は高校時代から使用禁止だったこともあり「部屋にいると何もすることがない。やるならストレッチかエクササイズぐらいなので。だからあまり部屋というのは寝る時以外は居心地が良くない」。そんなプロ野球選手のお手本のような存在だけに、新庄監督も9日に視察した際には「芯を持ってやっていましたよ」と達を絶賛したほどだ。

 193センチの長身右腕は体重増を意識しながら体作りを本格化させていく考えだという。「今のところ目標は100キロ。今90キロなのであと10キロなんですけど、今年1年間で徐々に増やしていければいいと思う。たぶん自分の身長だと、まだ細く見えるので。もっと体を大きくして、その上で力をつけていけたらいい」

 止まらない野球愛と普遍の向上心。前評判以上の大物かもしれない。