表情が緩んだ。公益財団法人「野球殿堂博物館」は14日、東京都内で「2022年野球殿堂入り通知式」を開催し、本年度の野球殿堂入りを発表。競技者表彰委員会のプレーヤー表彰では現役時代に日米通算313セーブをマークしたヤクルト監督・高津臣吾氏(53)が311票(86・1%)を獲得し、当選に必要な得票数とされている271票(75%)を超え、殿堂入りを果たした。 

 2016年に候補入りしてから、7回目での殿堂入り。通知式終了後の会見で高津氏は「ここ数年、何票か届かず殿堂入りが叶わなかったことが続いたので正直に言えば、もしかしたら縁がないことなのかと、ちょっと思ったりもした」と本音をのぞかせるシーンもあった。それでも7年越しの栄誉となったことで、会見の冒頭では「うれしいとかいうよりも、本当にここに座っていいのかという…。素晴らしい諸先輩方と同じ殿堂入りで肩を並べたわけでもないですが、入っていいのかなという気持ちです」と率直な心境を述べていた。

 通知式のスピーチでは現役時代の恩師でヤクルト元監督・故野村克也氏と、かつてバッテリーを組んだ古田敦也氏(56)へ感謝の思いを口にした。「プロ野球のスタートとなった時の監督でした野村監督、そして今日参加していただきました古田さん…」と切り出すと「野村監督の難しく、素晴らしい野球を何とか古田さんと一緒にいい答えを出せないかと取り組んで参りました。すごく難しいこともたくさんありましたが、すごくわがままなことをしっかりと受け止めていただき、よく兄貴分として僕の話をたくさん聞いていただきまして古田さん、心から感謝しております」と続けた。苦楽をともにした先輩へ向けて高津氏が謝意を示すと、この日ゲストスピーチのため通知式に来場していた古田氏も笑みを浮かべた。

 また、一昨年の2月に逝去した恩師・野村氏に関しても会見の場では質問が向けられた。「野村さんは殿堂入りについて、どのように言ってくれるか」と問われ「どうですかねえ…」と苦笑い。そして「まあ、ほめてはくれると思います。そんな多くの言葉ではないですが、おめでとうとは言ってもらえますかね」と照れ臭そうに語った。

 きっと天国から野村さんも自身と同じ殿堂入りを果たした教え子・高津氏の栄誉を祝福し、激賞していることだろう。