「みまひな」の素顔とは――。卓球ニッポンは昨年の東京五輪で混合ダブルス金など計4つのメダルを獲得。2024年パリ五輪はさらなる飛躍を期待される中、東京五輪でリザーブだった早田ひな(21=日本生命)は五輪後のアジア選手権で3冠を達成し、昨年11月の世界選手権ではダブルス2種目で銀メダルを手にした。そんな早田が本紙の単独インタビューに応じ、東京五輪のリザーブを振り返り、親友でありライバルの伊藤美誠(21=スターツ)との“関係性”も明かした。

 ――東京五輪後はアジア選手権、世界選手権、WTTファイナルと国際大会が続いた

 早田 昔の自分とは違うなというのをすごく感じた半年間でした。コロナ禍以前は国際大会の一発目(初戦)から中国選手と対戦していたのが(世界ランキングの上昇などで)自力で勝ち上がって対戦できる立場になったなと。

 ――五輪はリザーブとして代表メンバーのサポートや応援に徹した

 早田 五輪の舞台は今までの卓球人生で味わったことのない感覚でした。(男子決勝が行われた最終日を除く)13日間、毎日が新鮮というか、いろんな発見がありました。

 ――リザーブならではの発見とは

 早田 特に「応援する側」の視点。Tリーグなどでいつも多くの方に来てもらって、応援の重要性は昔から感じていたんですけど、いざ卓球を見るとハラハラ、ドキドキして本当に心臓に悪いなと(笑い)。でも、それって本当に勝ってほしいと思わないと、そういう気持ちが出なかったり、同じ緊張感を味わうことはできないと思うんです。

 ――24日に開幕する全日本選手権(東京体育館)のシングルスで2年ぶり制覇を目指す

 早田 特に優勝というのは考えてなくて。3種目(シングルス、ダブルス、混合ダブルス)とも目の前の一試合、一試合をしっかり乗り越えていくことが目標です。

 ――伊藤とペアを組んで世界選手権で2大会連続銀メダルを獲得。どんな存在か

 早田 どんな存在…。卓球仲間としても、人としてもこれからもずっと一緒にいたいし、ずっと切磋琢磨していきたい存在ですね。

 ――インタビューでは伊藤選手、早田選手と呼び合っているが、普段の呼び名は

 早田「みま」「ひな」で呼んでます。

 ――卓球を離れても相性がいい

 早田 お互い無理をしなくても波長が合うタイプなので、面白いことは面白い、楽しいことは楽しいという感じであんまり気を使うことはないですね。でも卓球になると感覚はそれぞれ違うので、どちらも相手の感覚を優先しつつ、アイデアを出したり、考え方を共有することもあります。

 ――波長が合うと感じる瞬間は

 早田 何か面白いことがあると15分とか笑い転げて、そのまま卓球台に戻ってこないこともあります。石田(大輔)コーチや美誠の松崎(太佑)コーチも「そろそろ戻ってきて~!」みたいな(笑い)。それでも、2人が100%笑いきったところまでいかないと戻ってこれないんですよね。
 ――笑いのツボが似ている

 早田 ツボは一緒ですね。ただ、私たちの笑いはなかなか理解してもらえないんです。何が面白いのか分からないとか、そこまで笑えないとか言われるんですよ。

 ――その一体感が“本業”になると…

 早田 卓球には自然にスッと入れます。お互いにやるときはやるタイプなので、集中しすぎると本当に誰も手をつけられないようなことも。人の話が聞こえないゾーンに入ったり、逆に笑いが起こると違う意味で2人の世界に入るので、そう考えると常に2人の世界ですね(笑い)。

 ――1人の時間はユーチューブを見ているとか

 早田 見てますね。私はファッション、美容系のジャンルが好きで、少し前だとクリスマス限定の化粧品を紹介している動画とか。レビューやどんなものが発売されているか見たりします。

 ――欠かさずにチェックするクリエーター

 早田 きりまるちゃんという美容系ユーチューバーがいるんですけど、彼女が大分出身で、私は福岡なので方言が似ていて親近感がわいてます。もちろん、チャンネル登録もしてますよ(笑い)。

 ☆はやた・ひな 2000年7月7日生まれ。福岡・北九州市出身。4歳のときに名門・石田卓球クラブで卓球を始める。14年4月のワールドツアー・チリオープンは史上最年少の13歳9か月で決勝進出(当時)。伊藤美誠と組んだダブルスで17年世界選手権銅メダル、19年、21年同銀メダル。Tリーグ初年度の18―19年シーズンでチームの優勝に貢献して初代MVPを獲得。167センチ。