〝ダークホース〟が急浮上だ。大相撲初場所10日目(18日、東京・両国国技館)、幕内阿炎(27=錣山)が幕内隠岐の海(36=八角)を押し出して勝ち越しとなる8勝目を挙げた。立ち合いからもろ手突きで相手を押し込むと、終始攻め続けて完勝。優勝争いでも2敗を守り、トップと1差に接近した。

 取組後の阿炎は「うれしく思います。場所に向けてしっかり体づくりができた。そのへんが良かったのでは」と給金星に納得の表情を浮かべた。今場所は初日から6連勝も、7日目から連敗。そこから立て直して再び勢いに乗りつつある。かつては一度ペースが乱れると大崩れすることもあったが、その姿はない。

 阿炎は「足が出なくなってきたので、稽古場で見直したりしてきた。(初黒星を喫した)阿武咲関とのビデオとかを見た。帰ってから自分なりに勉強して(課題に)気付けるようにしています。(以前に比べて)相撲のことを考えることが増えた。それが集中して思い切り取れる状態につながっている」と手応えを口にした。

 勝ち越しを決めたことで、次の目標となる2桁白星にも手が届くところまできた。阿炎は「そういうことは考えていないです」と無欲で臨むことを強調したが、初場所は過去6年連続で初優勝の力士が誕生。このまま白星を伸ばしていけば、大番狂わせも夢ではない。