TBSが新年早々に揺れている。人気番組「アイ・アム・冒険少年」のやらせ疑惑が「文春オンライン」で報じられたのだ。TBSと言えば、2019年に「クレイジージャーニー」や「消えた天才」でやらせ疑惑が報じられ、番組が終了したばかり。過剰演出が続発する背景を探ると、〝ドラマの呪縛〟があった――。

 やらせ疑惑が浮上したのは1月3日に放送された「アイ・アム・冒険少年」の人気企画「脱出島」だ。この企画は出演者が無人島でイカダを自力で作り、有人島へ脱出するまでの時間を競うというもので、食料や飲料水は持ち込み禁止。45Lのリュックサック一つに入る分の持ち込みは許されるが、それ以外は島にある限られた材料を使って脱出しなければならないルールとなっている。

 9日配信の「文春オンライン」によると、番組スタッフがイカダの材料などを無人島に持ち込み、イカダもスタッフが製作し、その風景も撮影されたうえ、出演者のあばれる君が乗ったイカダを小船がけん引する写真も掲載された。

 この報道を受けてTBSは〝安全面を考慮した〟として、今後の放送にも問題なしとの見解を示したところ、文春オンラインは13日配信で続報。お笑いコンビ「ハリセンボン」のやらせ疑惑を報じ、撮影と放送の時系列の矛盾などを伝えた。

「TBSのバラエティーをめぐっては、19年に人気番組『クレイジージャーニー』『消えた天才』でやらせ疑惑が報じられた。ともに打ち切りになり、BPO(放送倫理・番組向上機構)から放送倫理違反と判断されただけに、局内から『またか…』と落胆の声が出ている」(TBS関係者)

 もっとも「裏切られた」という批判の声もある一方、「スタッフが手伝っていると思ってた」と、ある程度予想していた視聴者も多かったようだ。日本テレビ系「ザ!鉄腕!DASH!!」の人気企画「DASH島」などのように、TOKIOメンバーと一緒にスタッフが参加している姿を正直に伝えれば、批判は起きなかったかもしれない。

 局内からは「ドラマの呪縛」を指摘する声が噴出している。「ドラマのTBS」の異名通り、特にここ数年は話題作、高視聴率を連発している。今クールでも、16日に初回が放送された日曜劇場枠の「DCU」が16・8%という世帯平均視聴率をたたき出した。

「好調なドラマに対して〝なぜバラエティーは低迷するのか〟という分析は、もちろんやっている。『半沢直樹』や『日本沈没』などでは、現実にはややありえない大げさな演技もたびたび話題となってきた。これを『バラエティーにも生かせないか』と、ドラマの成功を意識し、スケールの大きいことをやろうとしている」(前同)

 昨年の大みそか特番「THE鬼タイジ」は、酷評された日テレの「笑って年越したい! 笑う大晦日」にも及ばず、さらにテレビ東京の後塵を拝する始末。視聴者だけでなく、局内でも「ドラマはいいのに…」とささやかれているという。

「TBSのバラエティーでは昨年、不仲で有名だったおぼん・こぼんを和解させた『水曜日のダウンタウン』が高い評価を得た。決してバラエティーの制作能力が低いとは思えないので、浮上の余地はあると思うのですが…」(制作会社スタッフ)

 ドラマ班に大差をつけられた焦りが今回の〝やらせ問題〟の背景にあるようだ。(視聴率は関東地区、ビデオリサーチ調べ)