昨年8月、新型コロナウイルス感染による肺炎のため82歳で死去した俳優千葉真一さんのお別れの会が22日、東京・増上寺で行われた。

千葉さんが設立したジャパン・アクション・クラブ(JAC)メンバーらが発起人となり、誕生日に営まれた。俳優の長男新田真剣佑(25)次男眞栄田郷敦(22)は海外、地方での仕事のため欠席したが、連名でコメントを寄せ、父への思いを明かした。

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息子2人は、丁寧な和紙の封筒に包んだ手紙で父親への思いを伝えた。「世界的なコロナ禍の中、元気だった父が突然亡くなり、当たり前だった日常が音を立てて崩れ、悲しみに支配されました」と心境を明かした。「父と同じ俳優となり、生前、父が見つめる景色をぼんやりとですが、最近やっと見え始めたところです。今となっては、その先に何を父が見つめていたのか、もっとたくさん話しておけばよかったなと思っています」とやるせない思いもつづった。

2人は“千葉真一イズム”を引き継いでいる。「僕たちの心の中には、父親として、そして俳優としての千葉真一が、今も変わらず息づいています。その父、千葉真一を僕たち同様、愛し続けていただけると幸いです」と締めくくった。

発起人の1人を務め、16歳でJAC入りした千葉さんの弟子で俳優の若山騎一郎(57)は千葉さんを「おやじ」と呼び、涙を浮かべた。「おやじ、さみしいです。こんなこと言うときっとしかられるでしょうね、実の父親(俳優若山富三郎さん)が死んだ時よりもこたえてます」と声を詰まらせた。「お願いがあります。もう1回生まれ変わったら、またおやじの弟子にしてください」と祭壇に向かって語りかけた。

囲み取材に応じた若山は「この会を開いたことは正しいと思っていますし、ご賛同いただいたことに僕は満足です」と話した。

お別れの会では、千葉さんが3年前に描いた富士山の絵をモチーフにした豪華なフラワー祭壇が設置された。「日本初の映画葬」をうたい、LED大型スクリーンで秘蔵映像を鑑賞できた。主演映画「戦国自衛隊」、ドラマ「柳生十兵衛あばれ旅」などで使用した秘蔵のコスチュームや刀、高倉健さんに送った直筆手紙、数々の遺品なども展示された。多くのファン、関係者らが別れを惜しんだ。【佐藤成、遠藤尚子】