テニスの全豪オープン男子シングルス準々決勝でラファエル・ナダル(スペイン)がフルセットの末にデニス・シャポバロフ(カナダ)に勝利した試合において、ナダルの〝特別待遇疑惑〟を猛批判した。

 ナダルはシャポバロフとの死闘が4時間を超える中、何度も胃痛を訴えて医師による診察やトイレ休憩を取って試合がたびたび中断。これに試合後、シャポバロフが「フェアじゃない」と訴えた。他の選手に対しては同様の中断行為が反則になることが多い点や、試合の流れが変わったことなどを指摘してナダルや大会の運営を非難している。

 そうした中、全豪オープンを新型コロナウイルスのワクチン接種を拒否したため欠場となった世界ランク1位のノバク・ジョコビッチの地元セルビアメディアが〝参戦〟。「ブリック」は「世界の伝説的なテニスプレーヤーの1人であるナダルがシャポバロフから勝利を収めたが、その勝利には〝影〟がある。沈黙したくないカナダ人選手が声を上げた」と大々的に報道した。

 なぜセルビアメディアが今回の件を大きく取り上げるのか。それは地元の英雄であるジョコビッチも、これまで〝トイレ休憩〟で試合の流れを変えてきたとの批判を受けてきたからだ。

 同紙は昨年の全仏オープン決勝を例に挙げ「世界王者のジョコビッチは、ステファノス・チチパスに対して2セットを失った後、ロッカールームに行ってまったく別のプレーヤーとして戻ってきた」と指摘。このトイレ休憩で試合の流れが変わり大逆転しただけに、一部で疑問の声が上がった。

 しかし同紙は「7分間も滞在したナダルとは異なり、ジョコビッチはたった3分しかコートを外していない」と主張。同じトイレ休憩でも、ジョコビッチは適切な取り方で、ナダルは〝非常識〟な時間の使い方というわけだ。

 ジョコビッチ不在により全豪オープンの質の低下を批判してきたセルビア紙が、再び大会にかみついている。