熱男が元気に帰ってきた。新型コロナに感染して療養していたソフトバンク・松田宣浩内野手(38)が27日、待機期間を終えて福岡・筑後のファーム施設で自主トレを再開。熊本での合同トレにも帯同した野村大らと大声を響かせ、ハツラツと練習をこなした。

 今月17日に陽性判定を受けてホテル療養を余儀なくされた。最初の3日ほどは「インフルエンザに近い感覚だった」と38度の発熱と倦怠感に襲われたという。「コロナにかかってはいけない。きついを思いをしたからこそ、皆さんに今一度お伝えしたい」と声を大にした。春季キャンプは筑後でのC組スタートが決まっている。「ケガではないので体力を回復させて実戦ができる状態にして、一日でも早く宮崎のキャンプ地に入るという目標を持ってやっていきたい」と前を向いた。

 実績十分のプロ17年目だが、過去2年は満足いく成績を残せなかった。レギュラーを確約されていない立場は理解している。リチャードら若手の台頭は焦燥感を煽るものではなく、むしろ発奮材料だ。「結果を出せば出してもらえる」と、名だたる助っ人外国人とポジション争いに明け暮れた過去を思い出す。シンプルに競争に勝つだけ。「甘い世界じゃないことを知っているから、勝つ自信があるんです」とも言い切る。

 一軍で出続ける上で大事な「守備の安定性」に一日の長があるだけに、いかに打つか。近年は好調期が長続きせず、迷いが生じたことで不安定なパフォーマンスにつながった。今オフ取り組んだのは2008年の打撃フォームへの回帰。バットを担ぐ位置を「若い時のように一番低いところに戻して、よりシンプルに打つ方がいい」と原点に立ち返った。近年はバットを立てることで長打力は増したが、タイミングやポイントのズレが大きくなり、コンタクト率が下がった。担ぐ位置を下げることで、よりインパクトの瞬間を意識して確実性を上げる狙いだ。「なぜ担いで打ってたのか、というところ。ムダな動きで飛ばしてロスするよりも、シンプルに打った方がいいのかなと。まあ普通にやれば2桁(本塁打)。20本、30本は打ちたい。自分が一番できるなと思ってやってますんで」。手応えは、そのギラつきから十分に伝わった。

 独特の打撃アプローチで通算1811安打、301本塁打を放ってきた。実績が証明する打撃理論と引き出しが確かにある。藤本監督から「まだまだやってくれよ」「若い奴だけじゃ野球はできない」と伝えられている。このまま終わるような熱男ではない――。