伊藤美誠V3 “横綱卓球”でひな圧倒!3年ぶり王座返り咲き「自分のプレーできた」

 「卓球・全日本選手権」(30日、東京体育館)

 女子シングルス決勝で東京五輪代表の伊藤美誠(21)=スターツ=が、2020年大会女王の早田ひな(21)=日本生命=を4-1で圧倒し、3年ぶり3度目の優勝を果たした。女子ダブルスに続いて2冠も達成。昨夏の東京五輪後初の国内最強決定戦で王座に返り咲き、パリ五輪代表争いがスタートする22年もエース健在を誇示した。

 勝負を決めても派手なポーズはない。伊藤は相手、審判、観客席に軽くお辞儀するだけ。3年ぶりに奪還した“定位置”。女王の風格が漂った。

 「みんなのレベルも上がっているし、誰が勝ってもおかしくない全日本選手権で、最初から最後まで自分らしいプレーができた」

 貫禄の“横綱卓球”で盟友を退けた。前日、複を制した“みまひな”がこの日は激突。4年連続対戦となり初めて決勝で実現した。

 近年は接戦を繰り広げた強敵に、伊藤は多彩なサーブやレシーブを駆使。相手の土俵であるラリーには持ち込ませず、強打を封じた。一貫して先手を取り続けて完勝。2年ぶりに入った観客の前でもエース健在を誇示し「たくさんの方の前で自分のプレーができて幸せ」と胸を張った。

 技能はもちろん、1プレーごとに回転やコースを変えながら緻密に戦術を組み立てた。圧巻の戦いぶりに、女子代表の渡辺武弘監督も「非常に落ち着いていた。どの技術も丁寧に繰り出し、自分のペースに持っていった。相撲なら横綱相撲のような安定したプレーだった」と、改めて感嘆の声を上げた。

 東京五輪で3つのメダルを手にした伊藤にとって、大きな契機となったのが昨年11月の世界選手権ヒューストン大会だった。「中国選手にも普通に勝ちたい」と得意の前陣速攻ではなく、強化してきた台から下がってのラリー戦で対抗しようと試みた。しかし、逆に強みを見失い、中国の壁に阻まれた上、笑顔も消えた。「やっぱり私の強みは速攻」と1度、遠回りして再確認。原点回帰こそ未到のシングルス世界一への近道を見いだした。

 3月からはパリ五輪に向けた代表選考会もスタートする。従来は世界ランキングに準拠していた選考方針が変わり、日本勢同士の一発勝負も重視される。

 「いっぱい勝ちまくるのが目標。海外の大会もあるし、日本の選手ともたくさん試合して、どんな相手にも負けたくない」。無敵のエース宣言も、伊藤なら可能にする。

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