タレント土屋アンナ(37)が、3月19日にオンラインで開催される「Change Makers Fes 2022」のスペシャルアンバサダーに就任した。25歳以下を対象に「社会的問題を解決するために行動する」若者や子供を応援するイベントだ。自らも4人の子供の母親である土屋に、その思いを聞いてみた。

「昨年は子供のたちのダンスだったり、歌ったりってエンターテインメントを交えて開催したんですよ。私は全盲の女性にピアノを弾いてもらって、歌ったりしました。今年はオンラインになりましたが、海外からも参加できるのでつなげていけたらいいですね」。

17歳と11歳の男の子、4歳と3歳の女の子がいる。「お母さん業は、ルーティンなんで。朝起きて、送り出して、長男は幼稚園の時からお弁当なんでね。コロナ禍で家にいる時も、ご飯を作らなきゃいけない。どっちかと言うと、私は寮母です。今はひたすらご飯を作って掃除をする人。で、猫も6匹いるんで(笑い)」

仕事をしながら、4人の子供を育てることに苦労を感じたことはない。

「母親業を大変だと思ったことは1度もない。私の仕事は、子供の命を守るだけっていう使命感だけです。でも、これだけ人数がいると1人、1人の話とかを聞いてあげられない。『ママ、こんなことあった』って言われるけど、もう全部聞き流し状態。でも、子供もママはやることが多いからどうせ聞いてないだろうなって。私のことをお母さんとは、思ってないかもしれない。『なんか面白い人』って(笑い)。下の娘2人は私が出てるテレビとかの映像は、ほぼ見ていない。もうひたすら『アンパンマン』とかを見ている。だから、どういう仕事をしてるかは、よく分かっていないでしょうね」

モデル、女優、歌手、見た目から派手なイメージがあるが、ボランティアやチャリティーに造詣が深い。2011年(平23)の東日本大震災の時は被災地に駆けつけた。

「それはナチュラルなものですね。私たちのエンターテインメントの仕事って、行って喜んでくれる人がいて初めて受け入れてもらえる。盛り上げ役の1人としてやりたいなと思ってても、向こう側から声が掛かるまでは待つしかできないんですよ」

チャリティーや社会貢献の思いは、幼い頃に養われた。

「母が貧しい国の子たちの映像をすごく見せてくれて。日本でいうと『火垂るの墓』とか。うちの祖父母は戦争経験者なので『生きていられるのをありがたいと思いなさい。こうしていられるのは当たり前じゃない』っていうのを、小さい時からインプットされました。だから大変な思いをしている人を無視することが出来ない。周りが動かなくて。自分なりの正義感で100%動いちゃう。誰も何も言わなければ『いやいや、それ違くない、やろうぜ!』って言っちゃうタイプ。危険人物です(笑い)。自分にうそはつきたくないから」

自分の子供たちが抱えている問題については温かく見守り、そしてサポートする。

「私が小さい時に学校でいじめられている子がいて、私はどっちかというと人気グループの1人だったんです。でも、ムカついて、その子と仲良くしたんです。そうしたら一緒にいじめられた。でも、そういう状況も楽しんじゃった。自分の子供の場合は、まず中に入らない。子供だけで解決出来るものは任せて、本当に危ないと思ったらストップをかけてやればいい。子供たちの本能を信じているから」

子供の友達も、悪いと思ったら叱る。

「うちに連れて来る子で『お前は誰なんだ』って思う時もあるけど、まあいいかと。ただ、それで口のきき方が悪い子とかがいたら、私は直接言います。『あ、口悪いよ。うちに入れないよ』って。だけど、息子には、その子と仲良くするなとは言わない。自分で判断しろと。そこは昭和っぽいお母ちゃんかもしれない」

“お母ちゃん業”をナチュラルにこなしながら、歌手、モデル、女優として活動してきた。

「音楽というのは、本当に生き甲斐。小さい時から歌うのが好きで、歌に救われてきた。だから死ぬまでやっていきたい。モデルに関しては、やっぱり年を取っていくんで。無理せずに仕事が来るんであれば、出来る範囲でやって行きたい。お芝居は悪役が多いんですよね。この声と、しゃべり方で(笑い)。音楽やモデルとは一線を引いて考えているから、監督が『アンナじゃなきゃできない』って言った時にスイッチが入ります」

忙しい日々を送りながらも、新しいチャレンジを模索している。

「クラシックバレエをずっと続けているんですが、踊りっていうのは、やはり自分の表現力の1つ。自分の筋力を使って、人を感動させるというのを突き詰めて行ったら、ちょっと世界が変わるのかなと頑張っています。あと、フリーダイビング。海に潜って、ほんと無の境地になる。これをやることによって、逆に現実の仕事が頑張れる。ただ、今寒いんですよ。暖かくなって、私がこの業界から消えたら、海にいると。土屋どこに行った? って、多分海の方に行けばいると思います(笑い)」

子育ても仕事も自然体。だからこそ続き、人々を魅了しているのかも知れない。【小谷野俊哉】

◆土屋(つちや)アンナ 1984年(昭59)3月11日、東京都生まれ。98年「SEVENTEEN」の専属モデルとしてデビュー。02年ロックバンド「Spin Aqua」のボーカルとして歌手デビュー。04年映画「下妻物語」主演で女優デビュー、日本アカデミー賞新人賞・助演女優賞、ブルーリボン最優秀新人賞に輝く。19年映画「DINER ダイナー」。20年にYouTubeチャンネル「ANNA'S TV」開設。168センチ。血液型A。

▼「Change Makers Fes 2022」 国内外の社会的課題にに取り組む、25歳以下の若者、子供を応援するイベント。昨年に続く2回目となる今年は、3月19日午後3時からオンラインで開催する。視聴申し込み締め切りは3月6日。