いよいよ北京五輪が2月4日に開幕する。今回の浜口京子「気合でGO!」は、活躍が期待される注目選手を京子目線で解説した。スピードスケート女子の小平奈緒(35=相沢病院)をあの猛獣に例え2連覇を予言すれば、渡部暁斗(33=北野建設)のノルディックスキー複合は“格闘技的”楽しみ方を伝授。スノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢(23=TOKIOインカラミ)やアイスホッケーの魅力もハイテンションで語った。“北京秘話”も飛び出した京子の気合トークをお届けする。

 気合だ! みなさん、こんにちは。もうすぐ北京五輪が開幕しますね。今回は私が注目している選手、競技をお話しさせてください。

 まずはスピードスケートの女王・小平選手です。以前、長野・菅平で行われたレスリング女子の強化合宿を見に来てくれたことがあります。真剣に練習を見ていて「何でも吸収するぞ!」というオーラが出ていました。発言を聞いても哲学を感じますよね。競技を通じて自分を高めようとしている。金メダルを獲得した平昌五輪では、ライバルだった李相花選手(韓国)を抱きしめる姿もありました。人間性が素晴らしい。

 私は人と会う時にまず筋肉と耳(潰れていると、ちょっとうれしい)を見てしまうのですが、小平選手の太もも、私の2倍はありました。大木のようで、まさに筋肉の年輪。そして大臀筋。密度の濃い筋肉がぎゅっと詰まっているのがわかります。

 平昌で、私は会場であの気迫の滑りを見ることができました。気が付いたら「小平、行け~!」と絶叫してました。小平選手はまさに「女豹」。獲物を狙い、前かがみになる姿が重なります。氷に吸いつくように「グーグーグーグー」と小刻みに足を運ぶコーナーワーク。遠心力に逆らうパワーが爆発しています。「さあ小平、最後のコーナー! グーグーグーグー、ビューン ゴール!」

 はい、金メダル!です。それに次も見えました。2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪にも出ています。39歳。小平選手なら不可能ではありません。

 試合を観戦していて、格闘技だな、と思うのが、2大会で銀メダルを獲得した渡部選手らのノルディック複合です。ジャンプは私には絶対にできない恐怖との闘い。そして、クロスカントリー。選手の表情、筋肉、ずっと見てしまいます。目ん玉をひんむいて、鼻水だって垂らしながらがむしゃらに滑る。きついですよね。すごく心肺機能が高いのでしょう。「ああ、今、あの筋肉に乳酸がたまってきているな」と、選手の体の変化を想像しながら駆け引きを見ていると、格闘技観戦と同じ感覚で、すごく楽しいです。動物に例えたら「インパラ」。跳躍も持久戦もできるのは素晴らしいです。

 格闘技といえばアイスホッケーもです。重量たっぷりに突進する「ヌーの大群」。4年前、日本女子代表の取材の際に、防具をつけて滑らせていただいたんです。防具の重いこと。歩くだけでも大変なのに、滑って体当たりは当たり前。まぎれもない格闘技でした。面白かったですね。コーチの方に「浜口さん、向いていますよ!」とオススメされました。私も「自分に合っているな」とプレーしたくなりました。本当に楽しみです。

 最後に、インタビューをさせてもらったことがあるスノーボードの平野選手。年齢は若いけれど、しっかり自分の意見を語る方でした。銀メダルを獲得した2大会のように、今回も「鷹」のような動きで、ダイナミックなトリックを見せてくれるでしょう。「平野、ぐんぐん加速し、ヒューンと舞い上がった~ クルクル~!」。よし! 金メダル! 見えた!

 北京といえば、私は08年の夏季五輪に参加しました。実は、父(アニマル浜口氏)が04年アテネ五輪で大暴れしたので、北京で“要注意人物”になってしまったんです。両親は、日本大使館の方に静かにするようお願いされ、大会中は野球帽をかぶった中国の公安(警察)の方が、近くでずっと父を見張ってたんです。両親は、試合が終わるまで私に内緒にしてたのですが知っていたら心配でしたね。

 ただ、こういうのは父がアニマルだから、ということで(笑い)。私は、日本にいる感覚で、リラックスして臨めました。漢字なので意味も大体わかる。ボランティアの方たちもとても親切でした。みなさん、のびのびと力を発揮してきてくださいね。