中村勘九郎、中村七之助、中村獅童らが出演するコクーン歌舞伎「天日坊」(2月1~26日、東京・シアターコクーン)の公開通し稽古が1月31日、同劇場で行われた。

源頼朝の落胤(らくいん)になりすまし、鎌倉を目指す法策。法策が旅の途中で出会う盗賊とその妻-、若者たちが野望を抱いて駆け抜ける姿を描いた。今回で18回目のコクーン歌舞伎で上演されるのは、10年ぶり。

法策、後の天日坊を演じる勘九郎は「法策という人物を一言で表すなら“無”。結局最後まで自分が誰なのかわからない。精神的な複雑さに加えて、出ずっぱりな上に衣装も重い。毎回、ぐったりでした。今まで生きた中で一番疲れた役です。その法策としてまた生きる。もう1度“無”になってその場その場で感じることを大切に、ビジュアル部分もしっかりと見せていきたい」と話している。

盗賊の地雷太郎を演じる獅童は「コクーン史上最高傑作とおっしゃってくださる方もいらして、再演を望む声も多く本当にうれしかったです。今回はさらに進化したものをお見せしたいと思います。江戸時代のアウトローのかっこよさを感じていただけたら」とコメント。

地雷太郎の妻お六を演じる七之助は、初演はスカイツリーがオープンした時だったと振り返り「エレベーターを降りたところに浮世絵が飾ってあったんです。マーメイドドレスのようなシルエットで髑髏(どくろ)柄の着物を着た女性の絵を見ると『人丸お六』と書いてあったんです。衣装や小道具はそれを参考に作らせていただきました。前回は時間的に間に合わなかった部分もありましたので、今回はこだわっていきたいと思っています」と話している。