東京・歌舞伎座「二月大歌舞伎」が1日、初日を迎えた。第2部「義経千本桜 渡海屋・大物浦」では片岡仁左衛門(77)が、演じるのは今回で最後という意味の一世一代と銘打ち、平知盛を演じた。安徳帝への忠義を貫きながら、いかりとともに入水して果てる。

公演前の取材会で、仁左衛門は「江戸と上方、両方のやり方、型を取り入れて、私の型を作りました。愛着を感じています。まだまだやりたいんですが、この役はいかんせん体力を消耗する。次に機会があった時、恥ずかしくない範囲で務められるかどうか」と演じ納める理由を語っている。

「戦いのむなしさや忠義が伝われば」と、分かりやすく伝わりやすいように、せりふを変えるなどしながら練り上げてきた役。前半はさっそうとした船宿の主人、渡海屋銀平役。実はこの銀平が源義経への復讐(ふくしゅう)を誓う新中納言知盛という設定。歌舞伎の中でも屈指の大役の1つ。前半と後半でがらりと変わる役柄で、花道の出から壮絶な入水まで、何度も大きな拍手が起こった。

第2部はほかに「春調娘七種」。第1部は「元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿」「石橋」、第3部は「鬼次拍子舞」「鼠小紋春着雛形 鼠小僧次郎吉」。25日まで。