北京五輪フィギュアスケート団体(4日、首都体育館)を現地で見守った五輪2大会出場のプロフィギュアスケーター・鈴木明子氏(36)は、男子の宇野昌磨(24=トヨタ自動車)に大きな期待を寄せている。

 前回の平昌五輪に続き、男子ショートプログラム(SP)に出場した宇野は、かねて課題としてきた4回転―3回転の連続トーループを成功。自己ベストの105・46点で2位につけた。鈴木氏は「滑り自体が非常に落ち着いていました。氷なのですが、地に足がついているような。しっかりと滑る力が氷に伝わっているスケートができていました」と振り返った上で「本人もポイントとしていた(4回転―3回転の連続トーループ)点をしっかりと決めることができて、しかも高い出来栄え点(GOE)を得られた。本人のやれることを全て出せたSPだったのかなと思いました」と高評価を下した。

 この日はネーサン・チェン(22=米国)が世界歴代2位の111・71点をマーク。惜しくも及ばなかったが、決して届かない背中ではない。今季の宇野は「本当にいい形でコンディションが体の部分だけでなく、心の部分も含めて冷静に燃えるという感じに見えていた」と分析。好調を維持しているからこそ「個人戦に向けてのいい波が作れたと思いますし、ステップとスピンでレベル3が2つあった。本来だったらレベル4を狙えるので、修正すれば個人戦のSPではもっと得点を伸ばすことが可能だと思います」とエールを送った。

 自己ベストを更新したとはいえ、宇野に満足する様子は見られない。個人戦はSPが8日、フリーが10日に行われる予定。「自分でも納得し切れていない部分もたくさんある」。この飽くなき探求心をさらなる飛躍につなげていく。