【今週の秘蔵フォト】「ホワッド・アイ・セイ」「我が心のジョージア」などの名曲で知られ、“R&Bの神様”と呼ばれる盲目の天才シンガー、レイ・チャールズが、何と1975年11月11日付本紙で単独独占インタビューに応じていた。

 レイは4度目の来日ツアー中。「日本の聴衆は静かに注意深く聴いてくれるから、自分もとっても緊張するんだ。いつも心が温まるね。僕の音楽が聴く人の耳により正確に伝わって理解してもらうためには会場の音響効果などは完璧でなくては…。僕の弾くピアノは分身みたいなもの。ベストじゃないとそりゃあ文句を言うよ」と“神様”は笑顔で語っている。

 音楽生活27年。子供のころに夢見たものはすべて実現させた。「そういうとおこがましいけど…。でもよく子供は大将になりたいと思うでしょう? 僕は同じような気持ちで音楽面で夢を見ていただけ。幸運だったね」

 愛妻家で子供は3人。「3人の子供を連れてフットボール、バスケットなんかの試合を見に行くけど、僕はポケットにラジオを入れてね。雰囲気を楽しめるんだ。あとは家のコートでボール遊びなんかもたまにするよ」と優しき父親の素顔も明かした。

 さらには「これからは才能があっても埋もれている音楽好きな若者に力を貸したり、がんなどで困っている人々のために何か手助けを――と考えている。自分自身の夢? 仏語、独語など英語以外の外国語をマスターしたい」とも語っている。

 決して聖人君子ではなく、むしろデビュー前からショービジネス界の汚れた裏側を知り抜いてきた人だ。当時45歳。温厚ですでに達観した感が強い。それがステージに上がると天から神様が降臨したような圧巻のパフォーマンスを展開した。フランクに日本人の取材に応じたこのインタビューは、貴重な音楽史の1ページといえる。