ここからリベンジなるか。北京五輪スピードスケート女子1500メートル(7日、国家スピードスケート館)は、同種目世界記録保持者の高木美帆(27=日体大職)が1分53秒72で2大会連続の銀メダル。目標とする「個人種目金メダル」には届かなかった。だが、まだ勝負は終わっていない。日本のエースはメンタルの強さを武器に、残り種目での巻き返しを狙う。

 冬季五輪の日本勢で単独最多となる通算4個目のメダルを獲得しても、高木美に笑顔はなかった。出走前にライバルのイレイン・ブスト(オランダ)が1分53秒28の五輪新記録をマーク。想像以上のプレッシャーがかかるレースでも、前半の700メートルを全体トップで通過。しかし、後半に失速し「自分の実力が彼女よりも劣っていた」と唇をかんだ。

 最初の種目の3000メートル(5日)はメダルが期待された中で6位に終わり、スピードスケート関係者からは「万全ではないのでは」との声も上がった。それでも、周囲の〝雑音〟に左右されることのない人並外れた集中力を発揮。銀メダル確保につなげた。

 高木美のサングラスをサポートするオークリーの石﨑義孝氏は「1週間ぐらい前までは、ある程度フランクに話せますが、大会の1週間くらい前になると人が変わったような雰囲気になります。私も何げないことは一切、言わないようにしています」と〝全集中〟の一端を明かした。

 本命種目では悔しい結果に終わったとはいえ、17日の1000メートルでも金メダルを射程に入れている。高木美は「残りのレースも金メダルにかける思いは変わらない」。もう一度スイッチを入れ直し、まずは連覇を狙う12日の団体追い抜き(チームパシュート)の予選に照準を合わせる。