初メダルの〝勝因〟は――。フィギュアスケート団体(7日、首都体育館)で、日本は三浦璃来(20)と木原龍一(29=ともに木下グループ)のペアが2位に入るなど、各選手が安定した演技を披露。2014年ソチ五輪で採用後、初めて銅メダルを獲得した。ソチ五輪団体で主将を務めたプロフィギュアスケーター・鈴木明子氏(36)が、快挙達成の要因と今後の日本フィギュア界にもたらす影響を解説した。

 3度目の挑戦でつかんだ初の表彰台。初代主将の鈴木氏は「メダルの可能性があると五輪の前から期待されていましたが、試合はやってみないとわからない。そんな中で選手たちがベストを尽くし、初のメダルを取ってくれたので、心からうれしかったです。彼らを誇りに思います」と声を弾ませた。

 最後まで〝日本らしさ〟を貫いた。メダルがかかった最終日でも、いつも通りうちわを手に応援。演技が終えた選手を満面の笑みで迎えるなど、随所に仲の良さが垣間見えた。鈴木氏は「選手たちがLINEでやり取りをしていたり、樋口(新葉)選手が坂本(花織)選手に相談をしたりとか、そういった支え合う空気感がすごくよかったです」とチーム全体の一体感を指摘。メダルを引き寄せた大きな要因に挙げた。

 メダルセレモニーを待つ際には、坂本が選手たちと集合写真を撮る場面も。「みんなが和気あいあいとたたえ合って、最高の笑顔を見せてくれて、ここまで切磋琢磨しながら高め合いながら頑張ってきた仲間たちなんだなと思いました」と〝後輩〟たちの姿に目を細めた。

 今回のメダルは未来のフィギュア界にとっても大きなプラス。これまでペアやアイスダンスが脚光を浴びる機会が少なかった中で、カップル種目が注目される機会が増えた。「ペアとアイスダンスを目指す子供たちが増えて、裾野がどんどん広がっていき、フィギュア全体がもっと強くなると、五輪の団体でいつか金メダルを取る可能性も出てくると思います」とメダル効果に期待する。

 さらなる飛躍に向けては「興味を持ってもらい、応援してもらえることが何よりもフィギュアの発展につながります。そのためにも日本のスケートリンクの環境が整わないとカップル競技を続けていくことができないので、環境の改善がフィギュア界をこの先さらに強くするには必要だと思います」と提言した。

 団体戦ではそれぞれが己の力を十二分に発揮。今後は各選手が個人戦に挑む。「みんながいい演技をできましたし、五輪の本番での空気感は、何かに変えて味わうことはできない。それをきちんと自分たちの中で感じ取ることができたのは非常に大きいと思います」とエールを送った。