北京五輪で新型コロナウイルスのPCR検査で陽性になり、ホテルに隔離された選手らが検査方法や食事の酷さ、施設の不潔さなどの苦情が殺到し、中国側はあわてて環境を改善したと米紙USAトゥデーが7日伝えた。

 インスタグラムでは、スピードスケートのナタリア・マリジェフスカ(ポーランド)が「もうこれ以上、耐えられない」と投稿。バイアスロンのバレリア・ヴァスネツォワ(ROC)は「顔がすごく青白くて、目の下には大きな黒いクマ。もうこんなの終わりにしたい。毎日、泣いている」と明かした。

 マリジェフスカは開幕前の先月30日に検査で陽性になり、今月5日、同選手が本命視していたショートトラック女子500メートルの予選出場が不可能になった。ところが予選前日、隔離されていたホテルから突然解放され、試合の数時間前に改めて検査をしたところ再び陽性。もとの隔離部屋に戻されたが、予選が終了した翌日、陰性になり選手村に戻されたとインスタで経緯を説明。「わけが分からない」と不満をあらわにした。

 ヴァスネツォワの場合は、隔離されたホテルで毎食運ばれてくる同じ粗末な食事に不満を爆発させた。「朝食、昼食、夕食、こればかりもう5日間」と3日インスタに投稿。トレーに入ったゆでただけのマカロニに茶色いソース、少量の焦げた肉のようなものと少量のジャガイモの画像を添えた。「体重がすごく落ちて、骨が出てきた。これ以外食べ物がない」と危機感を示した。

 USAトゥデー紙のこの投稿はすでに削除されているが、すでにロシア国内外のメディアで大きく取り上げられた。その後すぐ、ROCのバイアスロンチームは、サーモンやキュウリ、ソーセージ、ヨーグルトなどが乗ったトレーを写した新たな画像を公開。食事に加え、エクササイズバイクも運び込まれ、ヴァスネツォワの隔離環境が改善したことを強調した。

 また、ドイツ選手団のダーク・シンメルプフェニヒ団長は独紙FAZとのインタビューで、同国ノルディック複合のスター・エリック・フレンツェルが陽性になり、あまりに狭い部屋に「不当な状態で隔離されている」と訴え、もう少し広く、もっと清潔な部屋とまともな食事を要求したと述べた。すると組織委員会は苦情を聞き入れ、早急に環境を改善したという。

 団長は「現在は選手たちは満足できる環境にいる」とし、以前より広い部屋でWiFiやエクササイズバイクが用意されたと語った。

 組織委員会によると、先月23日から7万回以上のPCR検査が行われ、選手や関係者ら数百人が陽性になっている。隔離されているホテルから出るためには、24時間を隔てて2回の陰性結果が必要としている。