五輪初出場の鍵山優真(18=オリエンタルバイオ・星槎)が銀メダルに輝いた。北京五輪フィギュアスケート男子SP2位で迎えたフリーでは「緊張しました」としながらも、201・93点をマーク。合計310・05点でソチ五輪金メダルに輝いた羽生結弦(当時19歳)を抜き、個人種目日本男子勢最年少メダリストとなった。演技後には「五輪という舞台なので一つの悔いも残したくないという気持ちで思い切り滑ることができてよかった」と声を弾ませた。

 初の大舞台で躍動した要因は今季特に力を入れて取り組んできた〝表現力〟の向上にある。五輪2大会出場でプロフィギュアスケーターの鈴木明子氏(36)は「今季はSP、フリーともに浅田真央さんなどを担当したことがある世界的にも有名な振付師のローリー・ニコル氏のもとでずっと細かいところまでブラッシュアップを重ねて、今回のプログラムになりました」と明かした上で「動きの一つひとつに感情を乗せるというところを今季は細かくやってきたのがつながったのかなと思います」と指摘。〝オールラウンダー〟を目指し、徹底的に演技を磨いてきた。

 当然まだまだ粗削りな部分もある。ただ、現地で練習や試合を見守った鈴木氏は「トップ選手が集まっている中でも鍵山選手の滑りのよさが光っていました。だから滑っていてもフッと彼に目が奪われました」と振り返る。他の選手にはない特別な輝きを放っていたという。

 今後に向けては「期待しかないです。まだまだ18歳ですし、息の長い選手になってほしいです」。鈴木氏も期待を寄せる若武者は、新たなステージに足を踏み入れる。