北京五輪スノーボード女子ハーフパイプ決勝(10日、雲頂スノーパーク)、冨田せな(22=アルビレックス新潟)が88・25点で銅メダルを獲得。初採用の1998年長野五輪以降、日本女子として初の快挙は母校での「廊下ボウリング」が後押ししたという。どういうことか?

 的確なアプローチがメダルを呼び込んだ。冨田の母校・全日本ウィンタースポーツ専門学校(新潟県妙高市)で現在も指導にあたる大橋一麻氏によると、出会った当初は回転技に入る直前の右手を引くタイミングで力が逃げてしまい、スピードが減速してしまうという課題があった。

 そこで足裏、尻、胸の3点を意識することで、右手の動きの改善を図った。「右手の動きに対して3つのアプローチをかけて、修正していくというような形でやりました」(大橋氏)。右手ばかりに集中させるのではなく、さまざまな箇所を体の使い方を覚えることで、正しいバランス感覚を身につけた。

 その中で冨田が練習に飽きないように、大橋氏はユニークなメニューも取り入れてきた。その一つが校舎の廊下でボウリングをすることだ。

「彼女の場合は利き手が右手。基本的には利き手の方がボールをコントロールしやすいはずですが、手を動かした時に、意外と利き手ではない左の方がうまくいったりとか、利き手だからといってうまくいかないということを感じてほしかった」。動きのチェックが目的で2~3回しか行っていないが、右手に頼り過ぎると、力が逃げてしまうことを実感する機会となった。

 無駄な動きがなくなった結果、スピードが向上。高難度の技を北京の地で決め切った裏には、学生時代の基礎固めがあった。