思わず言葉を詰まらせた。北京五輪スピードスケート女子500メートル(13日、国家スピードスケート館)で銀メダルを獲得した高木美帆(27=日体大職)がレース後、17位に敗れた平昌五輪金メダル・小平奈緒(35=相沢病院)への複雑な胸中をのぞかせた。

 高木は自己ベストの37秒12をマークし、今大会2個目の銀メダルを獲得。メダリスト会見では「パシュートから通常の個人種目に切り替えるのはちょっと未知数でしたが、うまくできたのかな」と相変わらず淡々と語った。

 しかし、500メートルが〝本職〟の小平に勝ったことを問われると「そうですね…」と言って、しばし沈黙。言葉を選びながら「この場で発言するにはなかなか難しいというか、自分の今の正直な気持ちとしては、どうやって言葉に表していいんだろうって言う思いはあります」と話しはじめた。

「私がラッキーだった点としては、早い組で滑れたこと。そこで速いタイムを出したことで後ろの組の人たちに違うプレッシャーをつくることができた。もし私が後ろだったら違う展開になったかもしれない」

 そんな勝負をあやを口にした高木。会見を行っている時点で「まだ小平選手とは会っていない」と明かし、こんな思いを吐露した。

「小平選手に勝てたから『私が500の何とかだ』っていう気持ちは全然なくて、今は純粋に銀メダルを取れたことの喜びを噛み締めている感じ。他のことはあまり考えていないです」

 ゆっくりと自分の気持ちを確かめながら語るのはいつも通りだが、より慎重に言語化する姿に小平へのリスペクトが感じられた。