インパクトのある名前とともに、口角がよく上がったニコニコ笑顔が印象的だ。TBSが社を挙げて昨年10月にスタートした朝の報道番組「THE TIME,」(月~金曜午前5時20分)に入社4年目で大抜てきされた宇賀神メグアナウンサー(26)。大エース安住紳一郎アナ(48)の隣でTBSの朝を支える次期エース候補に、今の思いを聞いた。【取材・佐藤成】

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「今日もすてきな一日を!」。お茶の間にさわやかな笑顔を届けるTBS宇賀神メグアナウンサー(撮影・足立雅史)
「今日もすてきな一日を!」。お茶の間にさわやかな笑顔を届けるTBS宇賀神メグアナウンサー(撮影・足立雅史)

★濃い3カ月

番組放送後の取材だった。疲れているはずの宇賀神アナは「朝早くにお越しいただいて、本当にありがとうございます」。こちらを気遣う言葉から始まった。


朝の時間帯で苦戦してきた同局が安住アナを引っ張り出し「本気」で勝負する番組で進行役を務める。


「こんなに濃い3カ月を人生で過ごしたことがないくらい毎日刺激的で、今までのアナウンサー人生で、一番難しい仕事をやっているなって実感があります。それと同時にやりがいも感じています」


入社試験のカメラテスト時に採用担当を務め、昨年3月に終了したクイズバラエティー「ぴったんこカン・カン」でも仕事をした、谷澤美和チーフプロデューサー(CP)からオファーを受けた。


「私でいいんですかっていう気持ちと、TBSが全部の力を注ぐであろう情報番組に、安住さんの隣で立てるってこんなに光栄なことはないなって」


コメンテーターはいない。アナウンサーと曜日レギュラーだけでテンポよく回すことが要求される。


「今までやってきた仕事の総合みたいな感じなんですよね。ニュースも読みますし、自分の思ったことも言うところもあります。報道番組、情報番組、バラエティー番組、ラジオ番組の4つの仕事を一気にグッと入れた感じなので難しいなって感じますよね」


佐々木卓社長も絶賛した見どころの1つ「列島中継」で、系列局のアナウンサーが出てこない定点カメラリレーでは、各地の状況を読み上げる。


「お休みの日は、点カメの地名をまとめたりとかします。岐阜県高山市は午前8時から朝市やっているとか。読み方の難しい地名を調べたりも。今後、日本一地理に詳しいアナウンサーになれるかもしれないです(笑い)」

★最高のお手本

生活リズムは一変した。午前1時に起床し、2時前後には出社。3時から打ち合わせが始まり、5時20分から番組がスタートする。


「ルーティンはメーク終わって、スタジオ行く前にホットコーヒーを一杯飲みます。気合入れるために。おなかいっぱいになってしまうと、声が出なくなってしまったり、集中力がとぎれてしまうんですね。だから朝食べないんです。チョコだけ置いていただいているので、頭に糖分行かせて、ゴーって感じなんです」


「1日の中で好きな時間」という湯船の中で、作戦を練る。


「夏も冬も季節関係なく365日湯船につかるんです。結構お風呂に入っている間に、仕事のこととか、明日どうしようかな、何言おうかなとか整理しています。湯船につかる時間は本当に大切にしています。全然1時間とか入れます。平均20分くらいですかね…温度は41度です(笑い)」


安住アナとは20年から21年にかけ「ぴったんこ-」でも共演。当時もらったアドバイスは大切にしている。


「ロケで不安すぎて台本をずっと握りしめていたら、『もう持たなくていいよ。台本通りにやってもおもしろくないから』っておっしゃって。台本を否定しているわけではなくて、スタッフの皆さんのアイデアが詰まったのが台本。それを元にその場の温度、流れから自分が思ったことをコメントした方がおもしろくなるっていう意味。本当に勉強になるなって」


今は毎朝、隣に最高のお手本がいる。


「(安住アナが)注意するとかはそんなになくて。『自分の仕事している姿を見て学んで』みたいな雰囲気を感じる。質問すると『こうした方が良いかもね』って答えてくださるんですけど。コメントとか、学ぶことが毎日たくさんあります」


まさに成長中。「私も安住さんに信頼して身をゆだねてもらえるように、支えられるようになりたいです」と頼もしく語る。


「いずれは何か仕掛けたいなって思っています。今後にちょっと期待して下さい(笑い)」

★ロック&キック

根っからのおばあちゃん子だ。一人っ子ということもあり、実家で一緒に暮らしていた曾祖父や祖母は遊び相手でもあった。


「一番大好きな食べ物は唐揚げです。実家に帰った時に母と祖母が作ってくれます。ニンニクとショウガをすり下ろしたものを醤油と袋に入れてもみ込んで、片栗粉で。それを食べると、力をいつも入れているのがふっと抜けるというか。素の自分に戻れるというか」


母が女優メグ・ライアンの大ファン。「笑顔がすてきな女性になって欲しい」とメグと名付けた。谷澤CPから「顔の形状が笑顔」と称されるほど、母の願い通りに成長した。ロック好きの一面も母の影響だ。


「小学生くらいから、母の影響でビートルズとか、ボン・ジョヴィとか聞くようになって、ロックが好きになったんです。中学2年生の時にエアロスミスにハマりまして、ジョー・ペリーみたいにギターを弾けるようになりたいと思ってギターを始めました」


高校大学ではガールズバンドを組むほど熱中した。


「基本はJポップのコピーバンドだったんですけど、私が頼んでたまにロックの曲をやってもらっていました(笑い)。出社するときとかもエアロスミスとか聞いて元気出したりしています」


「性格はそんなにロックではないです」といいつつ、昨年11月から突然キックボクシングを始めた。


「強くなりたいっていう気持ちで始めました。香川照之さんからは『ストレスたまってるの?』って心配されましたが、そういうわけではなくて。パンチ打った瞬間とか、キックはなかなかうまくできないんですけど、楽しいです。今年は、強くなる!」


一定のリズムでニュースを読み上げるAIアナウンサーなども登場している中、生身のアナウンサーの魅力を追求している。


「安心と安定の中にユーモアというか。真面目すぎる感じにはなりたくないなって思っているので、遊び心があるんだけど、安心して見られるっていうスタンスが理想」


人間味あふれる宇賀神アナ。その魅力が今以上に世に広まる日も、そう遠くない。


▼「THE TIME,」谷澤美和CP

ずんの飯尾(和樹)さんじゃないですけど、どのタイミングで世間が宇賀神の魅力に気づくかなと楽しみ。それが今年かなと思っているんですけど、私と安住さんはもうとっくのとうに気づいています。おばあちゃん子に悪い子はいない。原点を持っていて、ぶれない軸があるのが強みです。透明感があって、表情のベースが笑顔。「形状笑顔」なんです。アナウンサーにとってすごく大事なこと。多趣味で引き出しの多さも魅力。いろいろなことが分かるアナウンサーになってほしいし、なる要素を持っています。


◆宇賀神メグ(うがじん・めぐ)

1995年(平7)12月28日、埼玉県生まれ。18年、法大生命科学部卒。同年、TBS入社。「あさチャン!」「ぴったんこカン・カン」「王様のブランチ」などを経験し、現在は「THE TIME,」「人生最高のレストラン」TBSラジオ「ハライチ岩井 ダイナミックなターン」を担当。趣味はガーデニング、喫茶店巡り、エレキギター、ゲーム、漫画、アニメ鑑賞、ライブ鑑賞など。165センチ。


◆「THE TIME,」

安住アナが月~木曜、香川照之が金曜MCを務め、「ニッポンの朝がみえる。」をコンセプトにJNN各局からの列島中継なども交え、テンポよく、的確に情報を届けていく。江藤愛アナ、杉山真也アナら脇を固めるアナウンサーも実力派がそろう。