どうも! 有村昆です。1日に石原慎太郎さんがお亡くなりになりました。文壇デビュー作「太陽の季節」で芥川賞を受賞し、その後、東京都知事としてもご活躍されたのはご存じの通りです。すると5日には、「苦役列車」で同じく芥川賞を受賞された西村賢太さんが急逝されてビックリ。お2人とも数々の作品で、多くの読者を魅了されたのは言うまでもありません。そこで本日は「文才」をテーマにした作品を紹介したいと思います。

 ピックアップするのは、ジョー・ライト監督がメガホンを取った「シラノ」(25日公開)です。1897年にフランスで初演されて以来、日本を含め世界各国で上演されてきた不朽のミュージカルが今回、映画化されました。

 舞台は17世紀のフランスです。同国の軍隊に身を置くシラノは腕っぷしが強く、仲間からも信頼される騎士でした。何よりもズバぬけていたのは文章を書く才能です。ところが自分の外見にコンプレックスを抱いていたため、良家のお嬢さま・ロクサーヌに思いを告げることができません。そんなある日、ロクサーヌからある頼みごとをされます。それは、同じ軍隊に配属された、青年騎士クリスチャンとの恋の仲立ちです。これはツライですよね~。意中の女性が好きなのは自分の後輩で、しかも恋の成就を手伝わなければならないなんて。

 今でも最初はLINEやメッセージのやりとりをするように、2人も文通から始めます。ところがクリスチャンは愛を文章として表現することがからっきしダメ。そこでシラノが後輩になり代わってロクサーヌとやりとりすることになります。豊潤な言葉でつむがれるシラノのラブレターにロクサーヌはメロメロですが、当然シラノは葛藤します。そしてついにクリスチャンとロクサーヌが結ばれることになり…、この後、シラノの恋の行方は本編をご覧ください!

 初演から約120年がたっていますが、この純愛物語はまったく色あせませんね~。改めて思うのは、言葉というのが、いかに人の心を魅了し、動かすことができるかということでしょう。もちろん、使い方次第では人を傷つけることもできますが、どうせならポジティブに使いたいものです。今作は英国アカデミー賞で、英国作品賞など計4部門にノミネートされており、日本でも公開間近。ぜひ、その名作に浸ってみてはいかがでしょうか。

 ☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のシネマラボ」でも紹介。