フィギュアスケートの元五輪女子金メダリスト、キム・ヨナさん(韓国)のドーピング問題に対する投稿に称賛が寄せられる一方、韓国メディアでは、8年前のロシアとの〝因縁騒動〟時と比較し、元女王の行動に驚きの声をあげている。

 ヨナさんは14日、自身のインスタグラムに真っ黒画面で「ドーピング規定に違反をした選手は試合に出場できない。この原則に例外があってはならない。全ての選手の努力と夢は等しく尊い」と英語で投稿した。ドーピング違反が判明しながら、北京五輪で個人種目の出場が可能となったロシア・オリンピック委員会(ROC)の女子代表カミラ・ワリエワ(15)についての意見なのは間違いなく、多くの賛同を得ている。

 韓国メディアでは、この投稿を、2連覇を目指したヨナさんを抑え、金メダルを獲得したアデリナ・ソトニコワさん(ロシア)に対する総バッシングが韓国国内で起きた8年前のソチ五輪での〝因縁〟時と比較し、異例の行動ととらえている。

「ソウル新聞」は「開催地有利の〝偏向判定議論〟が起こり、16年にはソトニコワに対する禁止薬物服用疑惑が持ち上がった。当時、IOCは選手の権利保護を理由に名前を公開しなかったが、外信は『ソトニコワ』と報道。その時もキム・ヨナは何も声を出さなかった」と、ライバルの〝疑惑〟にもヨナさんが沈黙していたことを強調。「そんな彼女が今回、異例にも、公の立場を明らかにした」と、いかにヨナさんが重大な決意で意見を投稿したかを伝えた。

 また江原道民日報も「ソチ五輪の時も、(ソトニコワの)ドーピング疑惑が爆発した時も冷静さを失わなかったキム・ヨナが自分の意見を表明したのは珍しいこと。それだけ、この事件は真の五輪精神が傷つけられるほどの大きな衝撃と受け止められている」と、悲壮な覚悟を伝えた。

 過去のメダリストも含め、世界中がワリエワの動向に注目している。