〝ゆうみさん〟ってどんな人? 北京五輪カーリング女子1次リーグ(16日、国家水泳センター)で日本代表ロコ・ソラーレ(LS)は米国に10―7で勝利。通算成績を5勝3敗とし、17日のスイス戦に勝てば4強入りが決まる。そんなチームを支えているのは、セカンド・鈴木夕湖(30)だ。LSと代表決定戦で死闘を繰り広げた北海道銀行のサードで、親友の小野寺佳歩(現フォルティウス)が〝いぶし銀〟の素顔を本紙に明かした。

 絶対に負けられない戦いを制した。4―2で迎えた第4エンド(E)は、スキップ・藤沢五月(30)のラストショットを鈴木とリード・吉田夕梨花(28)のスイープでハウス中央へ引き寄せ、2点を奪取。第7Eに同点とされるも、第8Eに鈴木の鮮やかなダブルテークアウトでチャンスを演出し、複数得点につなげた。

 まさに職人技。鈴木のスイープ力には定評があり、吉田夕とともに「クレイジースイーパーズ」と称される。LSの本橋麻里代表理事も「チームの中でスイープに関してすごく掘り下げている」と絶賛。身長は146センチと決して大きくないものの、日々の鍛錬で体格差をカバーしてきた。そんな親友について小野寺は「親(LSの小野寺亮二コーチ)は『誰よりもトレーニングをするし、誰よりも走っているのは夕湖だよ』といつも言ってます」と証言。小野寺自身も海外遠征でLSと宿舎が一緒になった際には「『あ、夕湖走りに行ったな』みたいなこともあったし、日々努力しているというのは伝わります」と振り返る。

 スイープを極めようとする鈴木の突き詰める力は、プライベートでも発揮されていた。新型コロナウイルス禍前の2019年春ごろに、小野寺がディズニー好きの鈴木とディズニーシーを訪れた時の話だ。小野寺は「とりあえず乗れるやつに乗るか」との考えだった一方で、鈴木は違った。「いかに効率的にディズニーシーを回るか」。ファストパスを取得後、どういう順番で乗り物に乗るのが一番ベストなのかを事前に計画していた。小野寺は「その日は結構人も多かったのですが、いろんな乗り物に乗れましたし、いろんな物を見れたので、夕湖のおかげですごく楽しめたディズニーシーでした。すごいな、完璧じゃんと思いました。そういう部分は賢いなと思います」と感嘆する。

 さらに年末には、ある行事を欠かさず行っている。鈴木は小野寺、富士急のセカンド・石垣真央ら、カーリング仲間と集まり、その際に干支をモチーフにした写真を撮影し、LINEのアイコンにしている。昨年末はLSがカナダ遠征中だったため、直接は会えなかったが、オンラインで参加。小野寺は「夕湖としゃべりたかったので、友達も含めてオンラインでつないで、スクショ(スクリーンショット)で撮った画像が今のアイコンになっています」と明かす。今回は虎が爪を立てたポーズで撮影された画像が鈴木のアイコンに採用された。鈴木は「これを私は80歳まで続けるから」と話しているという。

 何事に対しても愚直に突き進むのが〝ゆうみさん〟の魅力。この日の鈴木は「スイープがすごく効いたアイスだったのでちょっと効き過ぎたところもあった」と笑顔で試合を振り返った。