北京五輪フィギュアスケート男子の実況を務めた中国国営放送「CCTV」の女性アナウンサーの発言が物議をかもしている。

 CCTVの陳イン氏はフィギュア男子の実況を担当。特に羽生の演技の際には熱のこもった言葉が注目を集め「天意は神のみぞ知る。たとえ頂点に立てなかったとしても、あなたは歴史を刻んだのだから、成功も失敗も笑顔で見届けるべきだ」などと独特の表現が話題を呼んだ。

 しかし、中国メディア「網易」などは「陳氏のコメントが大きな論争を巻き起こした。あの耳障りな一節を引用していなかったら完璧だっただろうが、起きてはならないことが起きてしまった。何かに取りつかれてたのか一時的な不注意なのかは分からないが、中国全土の人々が聞きたくないことを言ってしまった」と報道。陳氏のある一節が大騒動を巻き起こしている。
 それは「守れない街を守り、勝てない戦いに挑む」という言葉。陳氏は羽生がショートプログラム(SP)8位と大きく出遅れたことから、フリーでは〝勝ち目がなくとも勇敢に戦う〟という意図を表現したかったとみられる。しかし、この一節は中国で戦時中の状況を想起させるいわば〝タブー〟であるため、中国で猛バッシングを受けているのだ。

 同メディアは「羽生が好きなのはいいが、どうしてこんなにもたやすく娯楽に対してその言葉を使えるのだろうか!」と猛批判。「脚本家の王海林は、これを非難する文書を出した。有名なテレビキャスターとして羽生を大げさに宣伝し、彼女の言葉は人々の感情を傷つけ、それは非常に不適切だ」と中国で大きな波紋を呼んでいる。

 中国でも羽生の演技には大きな注目が集まっていただけに、騒動が拡大してしまっているようだ。