北京五輪のレースを終えたスピードスケート女子の小平奈緒(35=相沢病院)が18日、自身のインスタグラムを更新し、今の心境をつづった。

 平昌五輪に続き、500メートルでの金メダルが期待される中、1月中旬に雪道で足を滑らせて右足首を捻挫。約2週間氷上から離れていたが、北京の地に立った。しかし、本来の滑りは影をひそめ、同種目では17位。17日の1000メートルも10位に終わった。

 熱戦から一夜明けたこの日は「成し遂げることはできずとも、自分なりにやり遂げることはできたと思っています」と切り出した上で「この4年間、どこまで行けるんだろうと信じてくださった方々や、立ち止まりそうになるたびに温かい言葉をかけてくださった皆さんに何度も救われてきました。この舞台のスタートラインに着くことができるように支えてくださった皆さん、ゴールまで一緒に歩みを進めてくださった皆さん、ありがとうございます」と感謝の言葉を記した。

 平昌五輪後の4年間は順風満帆ではなかった。昨季は股関節痛に悩まされ、今大会も右足首の捻挫で苦しんだ。「4年間全てを含んで、弱みを抱えながら挑むというのはとても苦しかったです。最後の最後まで、本当に試される事が多くて、自分が今どうあるべきか、目の前の事にどう向かうべきか思考を巡らせる日々でした」と告白。ただ、小平は前を向いた。

「『受け入れる』それが最大の処方箋でした。生きている限り、生きることに向かうことで見えてくる未来もきっとあると思います。カタチには何も残らない五輪でしたが、この先もそよ風のように『あ、今の風心地良かったな』と思っていただける存在でいられたら幸いです」と締めくくった。

 メダルは獲得できなかった。それでも〝氷上の哲学者〟は最高の輝きを放っていた。