北京五輪で初の決勝進出を決めたカーリング女子日本代表ロコ・ソラーレ(LS)のリードを務める吉田夕梨花(28)は〝慎重さ〟が持ち味だ。

 チームの核弾頭として先陣を切る吉田夕は、石を軽く動かしてサイドにずらすウィックの精度が抜群。難易度が高いショットだが、きっちりと決めてチームの流れをつくってきた。

 母・富美江さんが吉田夕の性格について「慎重」と明かすように、繊細さを生かした職人技を随所で発揮しており、男子の全日本王者・コンサドーレでリードを務める阿部晋也は「本当に職人的なリードなところがありますし、どんなアイスでも自分のタッチで同じことを繰り返している」と感嘆。あまりの正確ぶりに、カーリング関係者からは〝ゆりかタイム〟と呼ばれている。

 吉田夕の成長曲線は、本橋麻里代表理事も舌を巻く。

「夕梨花は出会った時が高校生だったので、目まぐるしい成長だなと。人間的な成長をすごく感じる。高校生から実際にアスリートになるって決めて、さらにトップアスリートになるぞって人間が決心する時の瞬間を側で見させてもらった。夕梨花は一つひとつすごく考えて決心して、決心したことは本当にとことんやる」

 メンバーの中では最年少の吉田夕。しかし、真面目さは随一だ。カーリング関係者からは「LSで一番しっかりしているのは夕梨花ちゃんだよ」との声が聞かれるほどで、コツコツと心技体を磨いてきた。

 20日に行われる英国との決勝は激戦が予想される。大一番では、吉田夕の努力が詰まった〝ゆりかタイム〟の発動に注目だ。