菜那さんの分まで――。北京五輪のスピードスケート女子マススタート(19日、国家スピードスケート館)、決勝が行われ、佐藤綾乃(25=ANA)は8位入賞を果たしたが、悔いの残るレースとなってしまった。

 予選では平昌五輪金メダルの高木菜那(日本電産サンキョー)が最終コーナーで転倒。決勝進出を逃した。それでも、高木菜は悔しさを押し殺し、決勝前に佐藤を激励。「『頑張ろう』っていうふうに菜那さんにも送り出してもらえた」と先輩の思いも胸に、スタートラインに立った。

 決勝は前半から様子を伺いながら体力を温存。中盤にかけて徐々にペースを上げ、ラスト1周はメダル圏内につけた。しかし、残り150メートル付近で後続選手とスケート靴のブレードが接触。バランスを崩して減速してしまった。レース後には「タラレバになっちゃうんですけど、あの接触がなければ3位も狙えたのかなって思うところもあるので…」と顔をしかめた。

 佐藤にとってマススタートのレースは約2年ぶり。「やっぱりレース展開をうまく読み取ることができなかった。どうしても2シーズン滑っていなかったので、難しいところが出たのかなと思いました」と唇をかみながらも、最後には「悔しい結果になってしまったんですけど、菜那さんだけじゃなくて、他の国の選手たちとも『頑張ろうね』って声を掛け合っていたので。私としては楽しめたレースだったのかなと思いました」と笑顔を見せた。