北京五輪のスノーボード日本代表は金メダル1、銅メダル2を獲得。ただ、ハーフパイプで平野歩夢(23=TOKIOインカラミ)が五輪史上初の大技「トリプルコーク1440」を決めても、低評価の不可解採点に苦しめられるなど問題点も浮上した。採点競技のあるべき姿を、2006年トリノ五輪スノーボードハーフパイプ日本代表で競技解説者の成田童夢(36)が提言した。


 ――平野の2本目の採点が低すぎると議論を呼んだ

 童夢 もっと高得点でもよかったと思う。着地による減点に重きを置くより、難易度の高い大技を成功させたことを評価すべき

 ――ジャッジと視聴者の判断に差がある

 童夢 問題は①明確な審査基準がない、②減点方式である、③そもそも加点がない。競技のルーツはスタイル重視の側面があり、得点のつけ方が曖昧。ジャンルの成り立ちを考えればそれは分かるが、五輪競技として成立させるには、フィギュアスケートなどのように審査基準をハッキリさせないとダメだと考える

 ――平野は3本目を決めて金を獲ったが、ビッグエアの岩渕麗楽選手(4位)がもし3本目を決めていたら

 童夢 五輪で女子史上初の大技を披露するのは大変なこと。だから各国の選手たちが彼女のもとに駆け寄った。ただ仮に決めていたとしても金になったかは分からない。平野選手の2回目みたいな結果になっていたかも

 ――評価が低ければ大舞台で新技をやる意味がない

 童夢 その通り。今のままでは、あえて危険を冒してまで新技に挑戦する選手が出てこなくなる可能性がある。ジャッジが初めて見る技は審査基準がないため、正当な評価がされていないと感じる。選手が進化を続けることこそが、競技の発展につながる。平野選手が主張しているように採点基準の見直しが必要で、減点方式だけでなく加点方式を取り入れるなど工夫が必要


 女子フィギュアではカミラ・ワリエワ(15=ROC)のドーピング疑惑、スキージャンプ混合団体では高梨沙羅(25=クラレ)らの大量失格など、冬季五輪競技の問題が浮き彫りに。少しでも公平・公正なジャッジが求められる。