今後の飛躍のカギとは? 北京五輪では、フィギュアスケート日本代表が大躍進を見せた。史上初の銅メダルに輝いた団体をはじめ、男子では鍵山優真(18=オリエンタル・バイオ星槎)が銀、宇野昌磨(24=トヨタ自動車)が銅、女子では坂本花織(21=シスメックス)が銅メダルを獲得した。今回の結果を、未来にどうつなげていけばいいのか。五輪2大会出場でプロフィギュアスケーターの鈴木明子氏(36)が課題と改善策を指摘した。

 世界に進歩を見せつけた。日本は男女シングルで高い実力を誇ってきた一方で、カップル競技が課題と言われてきた。しかし、今大会はペアの〝りくりゅう〟こと三浦璃来(20)、木原龍一(29=ともに木下グループ)組が7位入賞。団体でも銅メダルに貢献する演技を披露した。

 鈴木氏は「フィギュアスケート界のレベルが上がった中でも、日本が団体でメダルを取れたのは本当に快挙だと思います。やっぱりカップル競技を強化してきて、ペアの三浦、木原組がここまで世界のトップと肩を並べて戦えるようになったところがまさに銅メダルの要因だと思います」と振り返った。

 五輪初出場で5位入賞の樋口新葉(21=明大)を含めて、まだまだ伸びしろは十分。鈴木氏は「坂本選手や樋口選手、三浦、木原組などが次の4年も目指しているという言葉を聞いた時に、次の4年間に向けてまた選手たちがどんなふうに成長していくか、一緒になって応援していくことができるのは楽しみになりました」と期待を寄せた。

 一方で、一部の女子選手たちの競技寿命の低年齢化が問題となり、五輪や世界選手権の参加年齢を制限する案も浮上。今後は健康面に配慮しつつ、長く競技を続ける選手たちが増える環境を整えていく必要がある。「選手たちも現役を続けるのは楽なことではないですが、応援する側も選手が続けてくれて頑張る姿を見せてくれるからこそ応援することができます。フィギュアを見る方々とまた一緒に楽しむことができますし、選手たちも引退する時に自分がやってきてよかったって思える競技生活を送ってほしいです」と切に願った。

 今回の好成績を受けて「フィギュアをやりたい」と思う子供たちも増えるだろう。競技普及の観点では大きなチャンスだが、取り巻く環境は厳しい。「やはりフィギュアをやってみたいと思った時に、リンクが近くになければハードルがものすごく高くなってしまいますし、テレビで見るだけのものになってしまいます」と不安を口にする。実際に維持費等の高騰を理由に、リンクが減っているのが現状だ。

 そこで鈴木氏は学校などでスケートを体験する機会を増やすことを提案する。「何事でも同じですが、例えばスケートというちょっと非日常の体験の中で得た成功体験、何か一つできるようになった自信がつながって、人は成長をしていくと思います。みなさんが知らない世界を知るきっかけの一つになると、裾野も広がっていくのではないでしょうか」と提言した上で「よかったら気軽にリンクを足を運んでほしいです」と呼び掛けた。

 日本のフィギュア界のさらなる発展のためには、今後の取り組みが大きなカギとなりそうだ。