ボクシングの元世界3階級制覇王者・亀田興毅氏(35)が24日、日本ボクシングコミッション(JBC)に賠償を求めた控訴審判決で勝訴し、注目を集めている。

 東京高裁は興毅氏ら亀田三兄弟がJBCに賠償を求めた訴訟の控訴審判決で「処分を違法」と認定し、JBC側に計約1億円の支払いを命じた。裁判が一応の決着となった興毅氏は今後に向けて「よくここまで負けずに戦って来られた。(自身が主催する)3150(ファイトクラブ)には〝再興〟というテーマもある」と話し、転落した人々をリングに呼んで復活させる活動を本格化していくという。

 その一人が亀田三兄弟の父・史郎氏。2010年3月、主審の裁定への不満から暴言を吐いて永久追放処分となったが、興毅氏は水面下でライセンス復活に向けて動いている。この日も「亀田劇場の復活! やっぱり亀田史郎という名物、最高のオヤジが必要」とアピールした。昨年12月の大会ではヘビー級ボクサーとして鳴らした西島洋介のカムバック戦をマッチメーク。SNSでバトルを展開したノアの丸藤正道とお笑いコンビ「TKO」の木下隆行の因縁マッチもプロデュースした。興毅氏は「誰もがボクシングを親しめる舞台をつくりたいんです。再興を目指す人たちにリングに上がってもらいたい」とのビジョンを語って意気揚々だ。

 一方で別の意味で注目を浴びるのが敗れたJBC側だ。永田有平理事長は「主張を受け入れていただけない判決となり大変残念」と肩を落とし、判決については「われわれは処分が違法だったと思っていない」と反論。賠償額が一審の4550万円から2倍以上に膨らんだことには「ちょっと驚いている」と話した。

 もともとJBCは深刻な財政難。20年は約2500万円の赤字を計上しており、さらに1億円の賠償額となれば破綻も見えてくる。永田理事長は「どのように再生していくか、いろいろと考えたい」と話し、亀田側の北村晴男弁護士は「破産して新たにまともな組織を誰かがつくり上げる道もあるだろう」と破産を勧めたほどだ。

 JBCは上訴も含め「対応を考えたい」というが、両者の表情ははあまりに対照的だった。