まさかの〝塩漬け宣言〟のワケは…。立ち技格闘技「K―1」の年間最大興行「K’FESTA.5」(4月3日、東京・国立代々木競技場第一体育館)で行われる無差別級トーナメントに出撃するMMAファイターの石井慧(35)が取材に応じ、意気込みを語った。

 昨年9月に仰天のK―1初参戦を果たしてから2試合連続判定勝利の石井が、ついに無差別級トーナメントに打って出る。1回戦では実方宏介と対戦。勝ち進めば決勝で悲願の京太郎と対戦する可能性もある。石井は「試合が決まってうれしいです。興奮しています。自分としても次の試合で勝ったらトーナメントの開催を提案しようと思っていたんです。それがK―1の方から言ってもらえたので」と声を弾ませた。

 だが、試合に向けては意外な意気込みを口にする。「10ラウンド(R)戦う気満々ですよ。1回戦3R、準決勝3R、決勝は3Rと延長1Rで合計10R。全部判定で勝ちます」と胸を張った。大きな動きがない膠着状態でフルラウンドまで引っ張る〝塩漬け〟宣言だ。

 通常、ワンデートーナメントに出場する選手は、決勝まで極力コンディションを温存するために序盤はKOによる早期決着を狙う。石井もそれは重々承知だが「僕は誰よりも頑丈ですから。あと、練習量だけは負けてないという自負があるのでスタミナも負けない。そして頭を使うこと。って言っても皇治さんみたいにじゃないっすよ(笑い)。そうやって自分の長所を使っていかに戦うかを考えたら、結論はそうなりますよ」と、勝利を目指す方法を模索した結果、セオリーと真逆の答えに達したと話す。そして「初めから10Rやる気満々だから、初戦からいくら苦戦しようとブレることがないですよ」と小鼻を膨らませた。

 新生K―1初となる無差別級トーナメント制覇へ、余念がない石井。1月中旬にはロシア・モスクワのボクシングジム「ブーパス・ジム」で武者修行を敢行し、立ち技の技術に磨きをかけた。さらに成長した姿を見せてくれることに期待したい。