米俳優ショーン・ペン(61)が、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった直後の24日にドキュメンタリーを制作するためウクライナ入りしていたことが明らかになった。

米CNNなどによると、映画監督でもあるペンは侵攻を受けて24日に首都キエフで開かれた同国のゼレンスキー大統領の記者会見で最前列に座る様子が目撃されたという。大統領府もフェイスブックに会見に出席するペンの写真を投稿しているほか、同大統領もインスタグラムのストーリーでペンと会談を行う様子を投稿している。ロシア軍の侵攻を受けたウクライナは全土に戒厳令を発令しており、25日朝までに137人が死亡、316人が負傷したことが発表されている。

ニューヨーク・ポスト紙によると、緊迫するウクライナ情勢のドキュメンタリーを制作中のペンはロシアの侵攻を直接映像に収めるため今週ウクライナ入りしたと伝えている。ウクライナ政府はニューズウィーク誌の声明で、「ウクライナで現在起こっている全ての出来事を記録し、ロシアの我が国への侵略についての真実を世界に伝えるため特別にキエフを訪問した」と説明。その上で、「ウクライナを支持する人々の一人であり、勇気と誠実さを示してくれたペンに感謝します」と述べている。

ペンは昨年11月にもウクライナ入りしており、ロシアとの国境付近で同国の軍隊と面会してインタビューを行っていたと伝えられている。ドキュメンタリーの制作会社に名前があがっているVICEスタジオは、CNNの取材で制作は認めているもののペンの関与については明言をしていないという。

ペンは2005年に米ニューオーリンズで発生した大型ハリケーン「カトリーナ」や2010年のハイチ大地震でも自ら現地に出向いて被災者救援を行うなど、人道支援に熱心なことで知られている。また、新型コロナウイルスによるパンデミック初期にはペン率いる人道支援団体CORE(コア)がロサンゼルスで大型PCR検査場を開設し、大型ワクチン接種会場の運営にも携わっていた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)