ソフトバンク・王貞治球団会長兼特別チームアドバイザー(81)が27日、宮崎春季キャンプを総括した。

 今キャンプは所用で一時チームを離れる期間もあったが、かねて目をかけるリチャードら若手を中長期的視野に立って熱血指導。対外試合でふがいない投球を見せた投手陣にゲキを飛ばすシーンもあった。

〝現場の目〟で総括した王会長は、アピール不足が否めなかった投手陣の中で印象に残った選手として一人の右腕を挙げた。「田中君がやっぱりいい」。

 6年目を迎える先発候補の田中正義投手(27)。2016年ドラフトで5球団が競合した最速156キロ右腕の成長に目を細めた。「だいぶ遠回りしましたけど、いい球を放っている。コントロールもよくなってきている。彼があの速さで、あの角度で放ったらバッターは打ちにくいでしょう」と大器の完全覚醒を予感。22日の対外試合・西武戦では、先発で2回パーフェクトに抑える快投を見守った。「ここで自信をつけてね。ローテーションに入れば週1回は放るわけですから。いい時も悪い時もありますが、そういう時も切り替えて『今日いい投球をする』ってことだけを考えてほしい。彼はかなりやってくれるだろうと、僕は思っています」と先発ローテーション入りへ太鼓判を押した。

 3月3日の中日とのオープン戦(ペイペイ)での先発が見込まれる田中。藤本監督ら首脳陣からも大きな期待を寄せられる右腕は「今後のオープン戦でも結果を求められる。そういう中で王会長に名前を挙げていただき、すごく励みになります」と気持ちを高ぶらせた。「世界の王」の言葉に背中を押され、さらにギアを上げる。