演歌歌手・坂本冬美(54)が23日にリリースした「夜桜お七」のアナログ盤が、予想を超える売れ行きだという。

 シングル「夜桜お七」は、1994年に8センチCDとして発売。演歌としては珍しい16ビートのメロディーが含まれ、そのアップテンポな曲調から「プログレッシブ演歌」とも呼ばれた。その楽曲を坂本は昨年大みそかの「第72回NHK紅白歌合戦」のステージで披露。バックでは最新映像技術「バーチャルプロダクション」を使用したことでも話題になった。

 今回、リリースしたアナログ盤は、歌手生活35周年のメモリアルイヤーの“締めくくり”と言える作品。坂本自身も「永い間、みなさまに愛された証ではないかと、とっても感激しております」と喜んでいた。

 デジタル配信全盛の昨今だが、一部の音楽ファンの間では、アナログ盤を求めるブームが起きている。ある音楽関係者は「最近では、山下達郎が発売30周年を迎えたアルバム『ARTISAN』のリマスター盤をアナログで出したり、宇多田ヒカルが、大ヒットアルバム『FIRST LOVE』のアナログ盤を出すなど、一流アーティストがこぞってアナログ盤をリリースしている」。

 坂本のアナログ盤はメモリアルな意味合いが強かったが、リリース直後にはその様相も変化。あるレコード店関係者は「発売初日から、問い合わせが殺到して店頭から品薄状態になった」と話す。

 つまり、アナログブームが演歌界にも及び始めているという。同関係者は「アナログの『夜桜お七』を求めるのが、往年のファンだけではなく、紅白で初めて聴いたんじゃないかっていうくらい若い人もいるんです」。

 坂本にとっては35周年を締めくくるにふさわしい作品になったのかもしれない。