ソフトバンク・松田宣浩内野手(38)が12日のヤクルトとのオープン戦(神宮)で、さすがの存在感を示した。「5番・三塁」で先発出場。5回二死満塁で左前へ鮮やかな2点適時打を放ち、オープン戦の打率を3割目前(2割9分4厘)まで上げてきた。

 2試合ぶりの出場で9日・巨人戦のマルチ安打に続くアピールとなった。プロ17年目は三塁レギュラーが確約されていない立場。若いリチャード、井上とのサバイバルを繰り広げている。この日は井上が「6番・一塁」でスタメン出場したが、3打席連続三振を喫するなど4タコ。ただ、若い2人の結果に惑わされるそぶりは一切ない。

 口癖は「自分が打てば使ってもらえる」。入団以来、ホットコーナーを主戦場に激しい生存競争を生き抜いてきた。かつて助っ人砲たちを相手に激戦区に身を置いてきたからこそ、若い選手が「レギュラーポジション」に手をかける寸前に直面するさまざまな壁と試練があることを知っている。修羅場をくぐってきたからこそ、時に温かくライバルである2人にエールを送ることもある。同時に厳しさを示すこともある。

 多くの国際舞台も経験してきた。輝かしい瞬間だけではなく、バッシングの対象になることも、辛酸をなめることも人より多かった。ゆえに我慢強く、打たれ強く、プロ16年間を駆け抜けてきた。

 この春、目立つ逆方向への鋭い打球。生き残るために何が必要かの「嗅覚」も繊細に持ち合わせている。「開幕も近づいてきたので、どんな状況でも気を引き締めて集中力を持っていくだけです」。今春、ここぞの勝負根性が光る熱男。場数の違いを今、見せている。