落語家の桂春蝶(47)、桂吉弥(51)、春風亭一之輔(44)が14日、大阪市のMBSテレビで「三人噺―春蝶・吉弥と一之輔―」(4月4日、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)の記者発表会見に登場した。

 江戸・上方の人気実力派落語家3人が集まる落語会。春蝶は「浜野矩随」、吉弥は「愛宕山」、一之輔は「青菜」を演じる。

 春蝶と吉弥の「3人会」といえば、桂かい枝(52)を加えた1994年入門の同期3人による「くしかつの会」が有名だ。

 今回は東西の落語家という縛りから、かい枝は出演しないが、吉弥は「スネてると思います」。一之輔も「そういえば、この間、口をきいてくれなかったな」と苦笑した。

 一方で、春蝶はイベントを主催するMBSから打診を受けた際に、「くしかつの会をさせて」とお願いしたが却下されたことを明かし、「数年かけてかい枝君をフォローします。懸命の介護に努めます」と笑った。

 そんな春蝶は3月3日に母・和子さんを心不全で亡くしたと明かした。

 早くから人気を集めた落語家だった春蝶の父・2代目桂春蝶さんは1993年に51歳の若さで亡くなった。和子さんは「名前を継いでくれたのはうれしいけど、まだまだやで」と息子の落語を見にくることはなかったが、桂枝雀さんの夫人には「本当は見に行きたい。ずっと気になってる」と話していたという。

 奇しくも、今回の演目「浜野矩随」は、名人と言われた父親が早世し、技術があがらない息子を母親が命をかけて開眼させるというものだ。

 春蝶は「あまりにも現実と重なり過ぎて」と言いつつ、「今なら見にきてくれるのかな。この日ばかりは、お客様と母親に捧げられるような『浜野矩随』にしたい」としみじみと話した。