ファイトソング:なぜラブストーリーらしからぬタイトルだったのか ドラマPが明かす“火10”新境地の狙い

連続ドラマ「ファイトソング」のワンシーン(C)TBS
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連続ドラマ「ファイトソング」のワンシーン(C)TBS

 女優の清原果耶さん主演の連続ドラマ「ファイトソング」(TBS系、火曜午後10時)が3月15日に最終回を迎える。同局の“火10”枠といえば近年、「恋はつづくよどこまでも」「プロミス・シンデレラ」「婚姻届に判を捺(お)しただけですが」など、一目でラブストーリーと分かるようなタイトルのドラマが放送されてきた。しかし、本作を手がける武田梓プロデューサーは「恋だけがテーマではなかった」といい、「清原さんを主役に据えることによって、説得力があるストーリーにできるんじゃないか」と期待を込めていたという。タイトルに込められた“火10”新境地の狙いを聞いた。

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 ◇主演・清原果耶×オリジナル脚本で“火10”新境地

 「ファイトソング」は、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」などを手がけた岡田惠和さん脚本のオリジナル作品。耳が聞こえなくなったヒロイン・木皿花枝(清原果耶さん)、落ちぶれた一発屋の変人ミュージシャン・芦田春樹(間宮祥太朗さん)、ヒロインをいちずに思い続ける幼なじみ・夏川慎吾(菊池風磨さん)の不器用な3人によるヒューマンラブストーリーだ。

 3人の恋愛を軸に置きつつも、それぞれが生きていく上でどのような選択をし、相手に寄り添っていくのかなど、人間ドラマもしっかりと描いてきた本作。武田さんは、清原さんを主演に迎えた理由について「今までの火曜10時枠(のドラマ)には、ラブコメのいわゆる“テンプレート”的な流れが結構あったと思うのですが、いい意味でそういう流れを裏切ってくれそうだと思いました。清原さんを主役に据えることによって、説得力があるストーリーにできるんじゃないかと期待していました」と明かす。

 その意図はタイトルにも反映された。「背中を押される存在としての音楽が根底にあり、それがいろいろなものと闘っている主人公にとって心が動くきっかけになる、というストーリーだったので、視聴者に伝える第一印象として恋だけがテーマだと言えなかったのはあります」と武田さんは振り返る。「せっかく清原さん主演で、先の見えないオリジナルでやるなら、今までの“火10”とは違うような雰囲気のドラマなのかな?という印象を強めたかった意図もあります」と話す。

 そんな本作は「ヒューマンラブストーリー」と銘打ちながらも、ジャンル分けするのは「なかなか難しい」と武田さん。「花枝は、恋をしなくても生きていけるといえば、生きていけるような女の子。でもそんな彼女が、自ら積極的に恋愛をしていくというところが、このドラマの狙い。『結婚しなきゃ』とか、『恋をしなきゃ』と強く思うヒロインではなくて、別に恋をしなくても、普通に人生を歩んでいける子が、あえて『恋をしてみたい!』とちゃんと思って、恋に向かっていくところがいいなと思っているんです」と語る。

 さらに、「恋愛以外にも向き合うべき“壁”を描くからこそ、恋という、“なくても生きていけるもの”がすごく輝いて見えるところがいいなとも思っています」と話す。岡田さんと打ち合わせをしていく中で、花枝が児童養護施設で育ったという背景を入れる提案があり、「血がつながっている“家族”ではなく、“一緒に生きていく存在”を一つの焦点にして描けたら、ということになったんです」と振り返った。

 ◇いよいよ迎える最終回 「最後はみんな幸せになれれば」

 花枝と芦田が衝撃の再会を果たし、幕を閉じた第9話。ついに今夜、最終回を迎えるが「最後は見ている人たちがみんな幸せになれればいいなと思っていますし、見ている人だけではなくて、登場人物たちも、みんなが幸せになれるような結末にしたいと思っています」と武田さん。

 「そこは楽しみに、そして安心してご覧いただければいいなと思います。大きく心が動くようなドラマにできればいいなと思っておりますので、ぜひ楽しみにしていただければ」と呼びかけた。

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