落語芸術協会(春風亭昇太会長)の新真打ち、柳若あらため春風亭柳雀(50)、春風亭昇也(39)の昇進披露会見が15日、都内で行われた。

柳雀は「色、個性が自然に出るのが理想。他の人と代えがきかない落語を作っていきたい。初めて落語を見る人でも分かりやすいように気を付けています」と話した。

大学卒業後、IT企業に就職し、37歳で瀧川鯉昇門下へ。柳雀は「会社で課長試験も受かってしまった。これで人生が決まってしまうと思って師匠の門をたたいた」と笑い「落語は、自分1人の差配で自分の責任。魅力も恐ろしさも感じる。演芸の総合芸術に魅力を感じました」と話した。

昇也は「入門した時から、楽しそうだねと言われる人になりたいと一貫しています。押せ押せでやる人も多いけど、全員ができるわけではない。軽さを出せればいい」と話した。

もともと漫才で活動していたが、コンビ解散後、落語家に転身した。「落語は趣味でした。落語家になるかならないか1年間悩んだ。趣味を仕事にする大変さを漫才で知っていたので」と話し「漫才と落語は演出から何もかもが違う。お客さんの想像力にゆだねる芸能でもあるので、楽しんでもらえれば」とした。

2人は落語芸術協会の若手ユニット「成金」メンバーとしても活動してきた。メンバーの1人、柳亭小痴楽が真打ちになった時に、週1回の会は終了し、現在は特別公演が開催されている。成金時代を振り返り、柳雀は「出演者全員が仲間でありライバル。勉強になりました」、昇也も「落語家としての血肉になっている」と話した。この日は小痴楽が司会を務め、メンバーの活躍が目に見える会見となった。

柳雀の師匠、鯉昇は「入ってきたのが37歳。数カ月でふるさとに帰ると思っていたら、根性があった。世慣れしているので、小言が趣味みたいな師匠の網目をくぐり抜けて、急所をつかんでいた。落語に対する貪欲さが生まれてきた」と笑い、昇也の師匠、昇太は「若手はのびのびやってくれるのがいい。なるべく楽しい協会にしたいし、そういう協会になってきている。成金は全員真打ちになったので『真打ち成金』をやってほしい」と話した。

披露興行は5月1日から新宿末広亭を皮切りに行われる。