〝アビの恩返し〟だ。大相撲春場所4日目(16日、大阪府立体育会館)、新関脇阿炎(27=錣山)が幕内明生(26=立浪)を小手投げで下して3連勝。取組後は「体が動いているのは調子のいい証拠」と手応えを口にした。一昨年にコロナ対策の規則(不要不急の外出禁止)に違反して3場所出場停止処分を受け、幕下から再出発。そこから着実に番付を上げ、ついに自己最高位を更新した。

 その阿炎のさらなる飛躍を望むのは、合成樹脂配管材料販売業「アビトップ」(本社・東京都台東区)だ。同社は2018年、偶然にも社名の一部としこ名の読みが一致する縁で阿炎に化粧まわしを贈呈。同社担当者は「名前にちなみ応援しようということになった。贈呈式は弊社に阿炎関と錣山親方(元関脇寺尾)にお越しいただきました」と振り返る。

 その後も交流は続いており「大企業のような支援はできませんが、親会社の本社が宮崎県にあり、相撲界にとって縁起がいいと言われている鶏肉(宮崎県産)の差し入れなどを行ってきました。阿炎関からお礼の言葉を添えた番付表などを送ってもらっています」と明かした。

 今後も支援は続けていく構えで「さらに番付が上がれば化粧まわしをもう1本考えないといけないかもしれません。稽古と精神面を精進されれば、おのずと次が見えてくるのでは。必ず勝ち取ってほしい」と〝アビ〟に番付のトップの夢を託している。不祥事を起こしても、見捨てることなく応援してくれる存在は阿炎にとっても心強い限り。何が何でも恩に報いたいところだ。