「雨後のたけのこ」は、たけのこの生長の早さを表した諺で「たけのこの育つよう」も同じ意味。たけのこを「筍」と書くのは、芽生え始めて10日(旬)過ぎれば、もはや「竹の子」ではない、つまり、地表に出てくる前の10日「旬」のうちに取って食べるべきだ、という意味が込められている。

 地上に顔を出すと、1日に1メートル以上伸びることもある由。

「たけのこ」と言えば「孟宗竹の子」のこと。

 中国に伝わる「二十四孝」の中に「病気の母にたけのこを食べさせたい」と真冬に雪を掘り起こし、天に祈っていると、目の前にたけのこがムクムクと出てきた、それを取って母に食べさせ喜んでもらったという孝行息子の「孟宗」という名前から「孟宗竹」は由来している由。この故事から「季節はずれのぜいたくな食べ物」のことを「寒中のたけのこ」という。

 孟宗竹は中国が原産で、直径20センチ、高さ10メートル以上も成長する。

 外観や食感(歯ざわり)からして食物繊維が多く含まれることがわかるが、食べると便秘を防ぎ、大便の量が多くなることで、腸内にだぶついているコレステロール、糖、脂肪、塩分、発ガン物質が排泄され、高脂血症、動脈硬化、高血圧、大腸ガンなどの予防効果がある。

 本草綱目に「消渇(糖尿病など口渇を訴える病気)に水道を利し(排尿を多くし)、気を益す」とあるが、たけのこ100g中500mgも含まれている「K」(カリウム)の作用であろう。タンパク質も100g中3・6gと多く含まれているのは意外だ。

 ◆石原結實(いしはら・ゆうみ)1948年、長崎市生まれ。医学博士。イシハラクリニック院長として漢方薬と自然療法によるユニークな治療法を実践するかたわら、静岡・伊豆でニンジンジュース断食施設の運営を行う。著書は300冊超でベストセラー多数。最新作は生島ヒロシ氏との共著「70代現役!『食べ方』に秘密あり」(青春出版社)。