DDTの「旗揚げ25周年記念大会」(20日、東京・両国国技館)メインで、遠藤哲哉(30)が46分を超える激闘を制しKO―D無差別級王座を奪取した。

 王者の竹下幸之介(26)とは同じ2012年にデビューした同期。2人にとってデビュー10周年の節目で実現した頂上決戦は、「死闘」と呼ぶにふさわしい一戦となった。

 序盤からお互いの持ち味が存分に発揮され、試合時間は30分を超えていた。それでも一進一退の攻防は続き、遠藤がケブラーダ式のスターダストプレス、エプロンでのカナディアンデストロイヤー、スワンダイブ式のファイヤーバードスプラッシュと大技を連発しても、王者の牙城は崩せない。

 ならばと、昨年12月に結成した新生「バーニング」の秋山準が得意とするエクスプロイダー3連発を決めると、バーニングスタープレス(シューティングスタープレス)を発射。すぐにはカウントに入らず、2発目を決めて文句なしの3カウントを奪った。試合時間は46分30秒だった。

「今日はデビューして初めて、竹ちゃんとDDTでプロレスができることをうれしいと思ったよ。これからも俺がDDTのリングに立ち続ける限り、竹ちゃんのことは大嫌いだ。今日はありがとう」

 デビューから注目を集め、エリート街道を歩んだ竹下とは対照的だった。若手時代は怒られる日々が続き、先を行く同期に嫉妬のまなざしを向けていた。だが、今は違う。遠藤が20年度のプロレス大賞技能賞を受賞し、21年度は竹下が敢闘賞を獲得。プロレス界を代表する選手に肩を並べ、そしてついにタイトル戦で竹下に勝利を収めた。

 この試合の立会人を務めた鉄人・小橋建太から「バーニング魂を見せてくれましたね」と絶賛された遠藤は、「遠藤哲哉は竹下幸之介に勝つことによって、一つ完成しました。でも完成であって完結ではない。まだまだ旅の途中です。俺が先頭に立って、DDTの選手全員でもっとDDTを大きくします。だから俺に着いて来い」とアピール。そして、ひと呼吸置くと「26年目もDDTから目を離すな!」と絶叫した。

 約1年1か月ぶり3度目のKO―D王座を返り咲きを果たした男が、新旗手として団体をけん引する。