演歌歌手・石川さゆりが歌手生活50周年を迎え25日、故郷の熊本・熊本城ホールで記念コンサートを行った。

 1973年3月25日に熊本市の水前寺体育館でデビューした石川。「2000人以上の人から『がんばれよ』って送り出されたのが、ついこの間のような気がします」と振り返った。「デビューをした時はオイルショックだったし、バブルもあった。そのバブルもはじけたりと30年40年、いろいろな出来事の中で、いま必要な歌、歌作りができたのかなと思っています」と語った。

 熊本は2016年に震災に見舞われ、石川は17年に復興を応援しようと熊本城で無料コンサートを行った。「ボロボロの熊本城を見ながら、涙を流して歌ったのを覚えている。その時に50周年のコンサートツアーは絶対、熊本からスタートさせたいと思った」。コンサート前には熊本城を訪れ、熊本県PRマスコットキャラクターのくまモンから「おかえりなさいだモン」と歓迎を受けた。

 コロナの影響もあり、熊本での単独コンサートは19年12月以来、約2年半ぶり。ステージでは2000人のファン前でこの日、発売となった記念シングル「残雪」やヒット曲「津軽海峡・冬景色」など22曲を熱唱した。デビュー5年目にこの「津軽海峡――」がヒットして紅白に初出場した石川。「ここが紅白かと、右も左もわからず。先輩から、来年もここで歌うのよっていわれたのが励みになって毎年頑張ってきたら、いつの間にか、最多出場ですって言われるようになって、『えっ!?』って思った。自分では何も変わってないんだけど」と笑みを見せた。

 50周年を迎えたからと言ってスタンスは変わらない。「感謝の気持ちはあるけど、変わることなく、みなさんが歌を楽しんでもらえるのが一番うれしい」と語った。