まさかの逆転負けを喫した阪神だが、この男は間違いなく輝いていた。

 6番・左翼で開幕スタメンを勝ち取ったチーム最年長の40歳・糸井嘉男だ。

 2回の1打席目から不惑の超人は全開だった。「良い緊張感の中で集中して打席に入れましたし、すぐに追いつくことができて良かった。絶対に勝つ!」と満点の気合いでヤクルト・小川のフォークを中前へ運ぶ同点適時打。今季初安打をマークすると、続く3回にも4点目の左前適時打、さらに5回には2番手・大下から右翼に今季1号2ランをぶち込むなど、3安打4打点の大暴れだった。

 5回に一発を放った際には〝確信歩き〟の後、虎党のスタンディングオベーションを浴びてダイヤモンドを1周。試合はショッキングな敗戦となったが、完全復活を期す糸井にとしては〝健在〟を示したプロ19年目の船出となった。