相棒。2000年から放送されている国民的ドラマ。現在シーズン20、しかもシーズン2以降は2クール分やっていることもあり、ざっと計算するだけで400話近くになる。さらに映画にスペシャルドラマ、スピンオフ作品となるとそれはもう恐ろしい数に…。

ちなみに配信サービスで海外ドラマを見始めるとき、3シーズンあるとちゅうちょしてしまうが、こちらはその10倍以上。1日1話を見ても1年以上かかるという…。ぜひとも海外向けの配信も始めてもらい、海外のドラマファンをびっくりさせてほしい。

今回取り上げたいのはそんな相棒の次期「相棒」について。最長記録(話)を更新した反町隆史が今クールをもって卒業。反町が4代目に就任したのは7年前の2015年、初代の寺脇康文、2代目の及川光博、3代目の成宮寛貴とそうそうたるメンツがつなぐ中での起用だった。

個人的には代表作であるドラマ「ビーチボーイズ」や「GTO」の時の自由奔放なイメージが強く、大人の魅力をまとってからの勝負作だと感じた。年に7カ月の期間、拘束されることもあり、他の仕事への影響が多分に出てくるが、チャレンジする価値のある作品、役であることは間違いない。結果、代表作となり、さらにこれからどういった役を演じるのか、誰もが注目する俳優の1人になったのではないかと思う。

さて、本題の5代目。先日ネットで名前が挙がっていたのが、中村倫也、山崎育三郎、尾上松也、松坂桃李、福士蒼汰、さらには田中圭に鈴木亮平に向井理。これまでと同じく若手から中堅まで人気俳優がここぞと並ぶ。ポイントは水谷に気に入られそう&撮影期間を考えると、礼儀などの教育がしっかりしていて、さらに期間に理解のある事務所やタイミングといったところだろうか。

本命は、反町と同じ事務所(研音)の福士蒼汰、そして及川の事務所(の系列)の向井理(ホリ・エージェンシー)。2人ともすでにトップクラスの俳優であるが、次々と若手が出てくる中、ここで1度引き離したいところであろう。

かなり確度が高い気もするが、ここでもう1人提案してみたい。相棒の主演を22年務める水谷豊の実娘、趣里(31)である。今クールのドラマ「DCU~手錠を持ったダイバー~」でも好演しており、ここ数年でドラマではなじみの顔となってきている。幼少期からバレリーナを目指していたが、けがの影響で挫折、そこから両親の後を追うように女優にチャレンジ。20代前半は演技レッスンや小劇場などの活動が中心であったが、事務所移籍(成宮がいたトップコート)と共にドラマや映画にも出演し始める。

2018年の映画「生きてるだけで、愛。」では鬱(うつ)で引きこもりの主人公を演じ、強烈な印象を残した。その演技が評価され、日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の賞を獲得。いわゆる2世俳優ではなく、着実に1歩ずつ上がってきた感はある。個性的な顔立ちにさまざまな役を魅力的にこなすその姿は今後の芸能界で重宝されるであろう。そして、水谷の年齢(69歳)を考えると最後の相棒になるかもしれないこのタイミング、ぜひ初の女性相棒、そして親子共演を実現してほしい。

◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて青山でカレー&バーも経営。2月17日からは東京・渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホールで演出舞台「政見放送」が上演された。

(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画監督・谷健二の俳優研究所」)