ロシアの侵攻を受けたウクライナを支援する活動を行っている米俳優ショーン・ペン(61)が26日、現地時間27日夜にハリウッドで開催される第94回アカデミー賞授賞式でウクライナのゼレンスキー大統領に演説する機会が与えられなければ、公の場で自身が獲得したオスカー像を溶かすと主催する米映画芸術科学アカデミーに迫った。

ウクライナの隣国ポーランドに滞在中のペンは、米CNNのインタビューで「アカデミー賞がゼレンスキー大統領に話す機会を与えることほど素晴らしいことはない。私の理解では、アカデミー賞はそれをしないという決断を下した。ゼレンスキー大統領が望んでいたかどうか話しているのではない。決断を下した全ての人、そしてその決定はハリウッドの歴史の中で最も卑劣な瞬間だったと思う」と語り、出演者らにボイコットを呼びかけた。

アカデミー賞はゼレンスキー大統領にロシア軍の侵攻を受けたウクライナの紛争について話すためのプラットフォームを提供する義務があると主張するペンは、「授賞式は映画を祝うべき大切な瞬間」であることに理解を示しつつも、演説が実現しない場合は「(招待者は)授賞式をボイコットすべき。ボイコットする方が、映画を祝う瞬間よりはるかに重要だ。そうならないことを願っているが、もしそうなったらみんなが会場から出て行ってくれることを願っている」と語り、自身も帰国後は公衆の面前でオスカー像を融解するつもりだと声を荒らげた。 授賞式の共同司会者の一人で女優のエイミー・シューマーは、ゼレンスキー大統領の出演を授賞式のプロデューサーに提案したことをSNSで明かしており、ニューヨーク・ポスト紙も映画芸術科学アカデミーがゼレンスキー大統領と出演に関する話し合いを行っていると報じていた。

ドキュメンタリーの制作のためロシアによる侵攻が始まる直前にキエフ入りし、ゼレンスキー大統領とも会談したペンは、今月上旬に車と徒歩でウクライナを脱出してポーランドに入国。その後、押し寄せる難民を支援する活動を現地で行っている。ペンは「ミスティック・リバー」(03年)と「ミルク」(08年)でアカデミー賞主演男優賞を受賞している。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)