日本サッカー協会の田嶋幸三会長(64)が、J2東京V監督時のパワーハラスメントなどでS級指導者ライセンスの1年停止処分を受けた永井秀樹氏(51)がJ1神戸のスポーツダイレクター(SD)に就任したことに対して復帰を後押しする方針を示した。

 永井氏はパワハラ行為が浮上して昨季途中で東京Vの監督を辞任し、3月に日本サッカー協会から正式に処分が下された。その直後に神戸の編成部門トップを担うSDに就任したことで、処分中の登用を疑問視する声が噴出して波紋を呼んでいる。

 28日にオンラインで取材に応じた田嶋会長は「我々は罰則を与えて彼から職を奪うことを目的にしているわけではない。京都のチョウ監督も1年間のS級ライセンス停止としたが、A級でできることや資格がなくてもできることはやっていいですよと。その代わり、ボランティアなど更生プログラムをちゃんと受けてくださいというのが第一条件でやってもらっている」と説明した。

 そして「永井くんや鳥栖の金監督などから職を奪おうと思っていない。彼らにも家族があり、ある一定の処分、社会的な制裁も受けている。ヴィッセルの方から聞くところによると、更生プログラムをしっかりやると本人も考えている。鳥栖の金さんにしても、2人とも優秀な人材なのでサッカー界に復帰してほしい」と同じくパワハラで処分を受けて金監督とともに、永井氏のサッカー界への復帰を歓迎した。

 最後に改めて「1年間、何も職に就いてはいけないという処分ではないことを皆さんにお伝えしたい」と強調。永井氏のSD就任は問題ないとの見解を明確に示した。