元ウクライナ代表主将で現在はロシア1部ゼニトでコーチを務めるアナトリー・ティモシュチュク氏(42)は、ロシアのウクライナ侵攻について沈黙を貫いている中、同国西部ルーツク在住の父親が地域防衛隊に加入したとウクライナメディア「スポーツ」が報じた。

 ティモシュチュク氏を巡っては、沈黙を非難したウクライナサッカー協会(UAF)が、指導者ライセンスや現役時代に獲得した国内タイトルのはく奪、同国史上最多の144試合だった代表チーム選手としての出場経歴を抹消。さらにはウクライナでのサッカーに関する全活動を生涯にわたって禁じる〝永久追放〟を課した。ゼニトは処分を不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴したが、本人のリアクションはないままだ。

 こうした状況で現役時代にティモシュチュク氏とチームメートだったこともあり、現在はベレス・リウネ(ウクライナ)の監督を務めるウクライナ人のユーリー・バート氏(47)は「彼の父親は銃を持って地域防衛隊として戦っている」と明かした。

 その上でティモシュチュク氏については「私はティモシュチュクに、同じ立場なら違った行動を取っただろうと手紙に書いた。彼は自らの言葉で説明する必要がある。今は(ロシアの)サンクトペテルブルクに住んでいて、ウクライナで起こっていることを見ているのかどうかはわからないが、私ならそれを見たら、その国とクラブから去るだろうとも伝えた」。こうした思いは本人に伝わったのだろうか。